繁殖などを目指す協定のため、宮城県仙台市の八木山動物公園に移動していた雌のアフリカゾウ「花子」が5日、秋田市の大森山動物園に帰ってきた。花子は今後、慣れ親しんだふるさとでゆったりと過ごす。

5日午後3時過ぎ、アフリカゾウの花子を乗せたトラックが、秋田市大森山動物園に到着した。

花子は、輸送用のおりの中から鼻を出し、久しぶりの秋田の空気を感じる場面も。

おりは20分以上かけて慎重にトラックから降ろされた。その様子を多くの家族連れやファンが見守った。

駆け付けた来場者は「感無量。鼻が見えた時『おかえり』と言ってしまった。元気で楽しく過ごしてほしい」と目を細めていた。

 菅原咲子アナウンサー:
「おかえりなさい、花子。6年ぶりに大森山動物園に里帰りした花子が姿を見せてくれている。仙台市からの長旅の疲れも見せず、とても元気そう」

花子は体調に問題なく、スムーズに屋内展示場に移ったという。

花子が6年前に八木山動物公園に旅立った背景にあるのが「種の保存」だ。

国内で飼育されているアフリカゾウは、2023年12月末時点で24頭。ピーク時の3割ほどまで落ち込んでいる。

減少するアフリカゾウの繁殖を目指そうと、大森山動物園と八木山動物公園、盛岡市動物公園は2018年に協定を結んだ。

それに基づき、大森山動物園の花子と八木山動物公園のリリーを交換したが、大森山でリリーのパートナーとなった雄のだいすけが2021年に死んだ。

また、八木山で花子とベンの間には繁殖の兆しが見られなかった。

花子とリリーは現在、推定で35歳。「今後の繁殖は難しい」と判断され、それぞれ慣れ親しんだ園に「里帰り」することになった。

大森山動物園でゾウの飼育を担当する山上昇さんは「一目見て花子が元気そうな表情をしていたので、体つきも秋田から仙台に引っ越した時に比べても遜色ないので、まずは安心した」とほっとした様子を見せた。

 大森山動物園・三浦匡哉園長補佐:
「まずは、おかえりなさい。今後については、一丸となって花子を健康に過ごさせたいと思っているので、これからもよろしくお願いしますと伝えたい」
 
花子は6日午後から一般公開されている。動物園で花子に「おかえり」を伝えてはいかがだろうか。

大森山動物園では今後、ゾウを長く健康に飼育するという方向にシフトし、3つの動物園で連携を深めていきたいとしている。

今まで「繁殖」の期待を背負ってきた花子。これからはゆっくりのんびり過ごしてもらいたい。

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