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<運動を頑張るのも、食べることを我慢するのも無理...そんな人にこの筋肉を使うだけで脂肪がガンガン燃える。人体のしくみを研究したどり着いた、ほぼ動かずにやせる方法>

ダイエットに成功するには何が必要なのか。パーソナルトレーナーの隅田咲さんは「キツい運動や食事制限をしてもポッコリお腹の解消は難しい。まずは『背骨をしぼる』ことで筋肉を目覚めさせることが大切」という――。

※本稿は、隅田咲『やせる背骨しぼり』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。

【「上半身をねじる」ことで代謝が上がる】

やせる背骨しぼりには、最低限の労力で体脂肪を落とすための工夫が詰まっています。まずは、その基本動作をお試しください。

背すじを伸ばし、腰を正面に固定します。胸が真横を向くほどしぼり続けましょう。いかがでしたか。

出典=『やせる背骨しぼり』(サンマーク出版)

出典=『やせる背骨しぼり』(サンマーク出版)

日常生活で激減している動作の代表格といえば「上半身をねじる」です。人体の構造的には骨盤を正面に向けたまま真横を向けるくらいまではねじれますが、これができなくなりがちに。

この、できるはずの動きをしないことで、体の奥にあるやせ力が高い深層筋が眠ってしまうのです。そのぶん代謝が落ちて脂肪が溜まりやすくなっています。まずは、その状態をリセット。副次的にねこ背や巻き肩の解消効果も得られます。

やせる背骨しぼりは、このように背骨をしぼりあげた姿勢を1分間キープすることで、ほぼ動かずに体を、脂肪溜め込みモードからやせモードへと変えます。では、どうしてキツい運動も食事制限もせずに、そんなことができるのでしょうか。

その秘密は、体のなかに隠された「スパイラル・ライン」にあります。

【やせにくいのは、筋肉のつながりを意識していないから】

スパイラル・ラインとは、体をかたちづくる筋膜のつながりのひとつで、後頭部から足の裏まで、多種多様な部位の筋膜が含まれてできているものです。ここの動きが悪くなると、スパイラル・ラインに含まれていない筋肉や筋膜にまで悪影響が及びますが、やせにくいとおっしゃる方の多くは、ここがガチガチになっています。

また、スパイラル・ラインは背中とお腹の広範囲を覆っているため、体幹の筋肉ほぼすべてに関係するものです。だからスパイラル・ラインの動きさえよくなれば、体幹の深部でうまく働いていない脂肪燃焼の得意な筋肉もめざめさせられるのです。

もちろん、固まった筋肉や筋膜を一つひとつ伸ばしたりほぐしたりすることも可能ですが、かなりの時間と手間を要します。さらに、筋肉をつなぐ筋膜を的確に伸ばすには、専門的な知識や手法が必要です。

こうしためんどうなことを考えずに、体の奥で眠っている筋肉や筋膜をまとめて芋いもづる式に短時間で伸ばしてほぐす最善の手段が、やせる背骨しぼりでした。これは私が人生の大半を費やして学んできたバレエやピラティス、トレーニングにおける解剖学など体にまつわるすべてを踏まえ、生徒さんたちの声を聞き続けるなかたどり着いた結論です。

その秘密を紹介していきましょう。

【背骨をしぼりあげると、固まった筋膜も伸びる】

やせる背骨しぼり最大のポイントは、背骨を「しぼりあげ続ける」ことにあります。これをする理由は、多くの人は可動域が狭まった背骨のまわりにある筋肉がうまく働かなくなっており、筋膜も固まった状態だからです。

その状態のまま運動をしたとしても、動きにくい状態からは脱せません。ですが背骨を「しぼりあげ続ける」と、うまく働かなくなっていた筋肉も動かざるを得なくなりますし、それを「1分ほどキープ」することで硬くなっていた筋膜もじわじわ伸びていきます。

また、スパイラル・ラインはお腹のあたりで交差するので、背骨をしぼる動きをすれば必然的に、多くの筋肉が活性化され筋膜も伸びやすい状態に。

この動きの効果は体にどんどん積み重なっていくため、たとえ毎日やらなくても柔軟性は上がっていき、体は動きやすくなります。

筋膜がほぐれると、背骨まわりにある多裂筋たれつきん、脊柱起立筋せきちゅうきりつきん、腹斜筋ふくしゃきんなどの筋肉が伸び縮みしやすい状態に。これらの筋肉が活性化すると、ほかの多くの筋肉もスムーズに動くようになるため、脂肪燃焼力の高い体になります。

出典=『やせる背骨しぼり』(サンマーク出版)

【眠っていた「深層筋」がめざめる】

やせる背骨しぼりの魅力のひとつが、体の深部にある深層筋を活性化できることです。

深層筋は姿勢の維持などに使われることが多く、単純に関節を曲げ伸ばしするだけでは働きにくいという特徴があります。ところが背骨をしぼる動きをすると、それだけで背骨や関節のまわりについている深層筋が活性化し、きちんと働くようになるのです。

やせる背骨しぼりでよく動くようになる背骨は、おもに胸椎ですが、その際に内腹斜筋ないふくしゃきん、多裂筋、脊柱起立筋、骨盤底筋群こつばんていきんぐんなどの深層筋が活性化し、きちんと働くようになります。

出典=『やせる背骨しぼり』(サンマーク出版)

深層筋は一度鍛えると衰えにくいため、多少やせる背骨しぼりをサボったとしても脂肪燃焼効果は続くという、うれしい特徴があります。

この深層筋には、脂肪をエネルギー源として動く赤筋繊維が多く含まれています。つまり体幹が固まることでうまく働けていなかった深層筋は、脂肪をガンガン燃やしてくれる「やせ筋」でもあるということ。体の奥で眠っていた深層筋がめざめて働き出すから、自然に脂肪が減っていくというわけです。

【ランニングと比べても意外と負荷が高い】

やせる背骨しぼりで行う、体をギュッとしぼる動きを1分間続けるだけで「体が熱くなった」とおっしゃる方は、本当に大勢いらっしゃいました。「体をしっかりねじっただけで汗だくに」という感想まで頂いたほどです。

体が熱くなる理由は、1分間力を発揮し続ける点にあります。

たとえば筋トレなら強い力を発揮するのは重りを上げ下げする数秒、ランニングなら足で踏み出す一瞬に強い力を発揮し、あとはわりとラクな状態です。しかし、やせる背骨しぼりは筋肉が力を発揮し続けるため、負荷が意外と高くなっています。

しかも眠っていた筋肉がめざめ、さらに多くの筋肉が活発に働いた結果、大量の熱が発生して体が熱くなります。体温が1℃上がると代謝は12%~13%上がるため、やせ効果はさらに高まるというわけです。

全身の筋肉が動きやすくなれば、日常生活での消費エネルギー量は跳ね上がります。

ほかにも基礎体温が上がったり姿勢が整ったりするため、多くの筋肉が柔軟に動くことはいいことずくめ。

やせる背骨しぼりなら、過酷な有酸素運動や筋トレなどをすることなく、太りにくくやせやすい体に変われます。

出典=『やせる背骨しぼり』(サンマーク出版)

【肋骨の開き、反り腰、猫背も解消される】

じつは意外と多く頂くのが「私、肋骨がゴツいのが嫌なんです」というお悩みです。これも、じつは背骨まわりの可動域を取り戻せば解消できます。

まず、肋骨の形は姿勢による影響を強く受けるものです。

たとえば反り腰の方は、背中の筋肉が硬くなることで肋骨が引っ張られるようになって、開いた状態で固まります。あるいはねこ背でお腹の筋肉が弱って肋骨を閉じる筋力が弱まり、肋骨が開くことも。つまり体幹の筋肉が固まったり弱ったりすると、肋骨が動きにくくなって横に開いてしまうのです。

ほかにもストレスなどで呼吸が浅くなり、息を吸ったときの開いた形で肋骨が固まるケースも。やせる背骨しぼりをすると、姿勢が整い、固まった胸椎がよく動くようになって正常な位置に戻るため、肋骨の開きも解消できます。

やせる背骨しぼりを続けると、肋骨の開きが解消されて呼吸も深くできるようになり、脂肪を分解するミトコンドリアをたっぷり含んだ深層筋がどんどん働き出すため、自然にやせていく体に。実践してくださった方はだいたい2週間で、お腹や下腹部、背中などの上半身からうれしい変化を確認されていました。

【ダイエットしてもポッコリお腹がなくならないワケ】

股関節は、体を大きく動かすうえで重要な関節です。さまざまな方向に動く関節なので、前後や側面にも筋肉がついているという特徴があります。

そして股関節は、姿勢の悪化を招く骨盤の前後の傾きにも深く関係する関節です。まず、普段から脚の付け根が縮んで「く」の字になっている方は、骨盤が前に傾きがちで、反り腰になったり、お尻が垂れたり平らになったりします。

逆に股関節が伸びきっている方は、骨盤が後ろに傾いた状態になりがちです。そうすると背骨と股関節を結ぶ、脂肪燃焼が大得意な大腰筋が動きにくくなります。このタイプの方は、お尻が四角くなりがちです。

どちらも背すじが伸びたきれいな姿勢を取るのが難しく、下腹部の筋肉はゆるんで使えなくなるため、下腹がポッコリと出てしまうのです。

これは下腹の深層筋という支えがなくなったことで胃腸が下がってきて起きる現象ですが、普通のダイエットをしてもなかなかこの状態からは脱せません。深層筋を復活させることがいちばんの近道です。

背骨の動きがよくなると股関節も大きく動くようになり、その大きな動きの繰り返しで、股関節の動きがさらによくなります。また、全身の筋肉の7割は下半身にあるので、股関節がよく動くことは消費エネルギー量アップに直結するとお考えください。

この股関節が動くときの姿勢を維持する際に使われるのは、これまで申し上げてきた脂肪燃焼効果の高い深層筋です。無意識に深層筋が使われるようになることは、勝手にやせる体づくりに大いに役立ちます。


隅田咲『やせる背骨しぼり』(サンマーク出版)(※画像をクリックするとアマゾンに飛びます)

※当記事は「PRESIDENT Online」からの転載記事です。元記事はこちら。

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