秋田県内を襲った記録的大雨から1年が経過した。秋田市の太平山は、土砂崩れで一部の登山道が利用できなくなっている。本格的な夏山シーズンを迎える中で、1日も早い復旧を望む関係者の思いを取材した。

標高1170メートルの秋田市の霊峰・太平山。山頂には太平山三吉神社が管理する奥宮があり、古くから信仰の山として地域で親しまれてきた。

毎年、夏になると豊かな自然を求めて県の内外から多くの人が訪れる。ただ、その自然を楽しむための登山道が、2023年7月の記録的な大雨で土砂崩れなどの被害を受け、一部が通行できなくなっている。

太平山の山頂につながる登山道は複数ある。被害が大きかったのは、最も登りやすいとされる「旭又登山道」で、登山口に通じる林道が閉鎖されている。通行ができる登山道もあるが、いずれも初心者には難しいコースとなっている。

現在利用できる登山道の一つである全長6.7キロの「丸舞登山道」は、比較的登りやすいとされているが、橋や道路の崩落が見られ、登山客は修復を望んでいる。

 神奈川から訪れた登山者:
「メジャーだった登山道が通れないと聞いていたので、きょうは太平山スキー場の方から来た。中岳から山頂まで来るときに中腹を通るが、そこが細くて神経を使った」

 埼玉から訪れた登山者:
「われわれは年をとっているので、本当は通常の一般ルートから登りたかった。短い距離から登れたらもっと楽で良いと思う」

登山道の復旧は、登山者だけでなく、太平山三吉神社の田村泰教宮司も待ち望んでいる。

太平山三吉神社は、毎年7~9月にかけて山頂の山小屋を運営しているが、登りやすいとされる旭又登山道が現在も閉鎖されていることから、2024年も休業を余儀なくされた。

 太平山三吉神社・田村泰教宮司:
「旭又登山道に通じる仁別林道が復旧しないと、9割以上の人が使う道なので神社も山小屋も開けられない。山頂の施設も閉めっぱなしだと駄目になっていくので心配」

田村宮司は2023年の大雨以降、林道を管理する秋田森林管理署に定期的に連絡を取り、復旧工事の進捗(しんちょく)状況を確認している。

旭又登山口まで続く仁別林道は約12キロあるが、12カ所で工事が必要となっていて、秋田森林管理署は2026年度までに復旧を終えるとしている。

秋田森林管理署の橋爪一彰署長は、「登山道へのアクセスとしての役割は大きいと思う。時間はかかるが着実に復旧を進めていきたい」と理解と協力を求めている。

一方、旭又登山道の修復は、仁別林道の復旧後に始まることになっている。旭又登山道を利用して山頂まで行けるようになるには数年かかるとされていることから、1日も早い復旧を願う関係者の思いは募るばかりだ。

 太平山三吉神社・田村泰教宮司:
「奥宮は信仰の源、中心。秋田市のシンボルとして地域や県外の方々から愛された山なので、これからも太平山の歴史と信仰を守り続ける使命がある」

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