学区制のあり方などについて意見を出し合う高校生の背後で耳を傾ける中川斉史・徳島県教育長=徳島市万代町1の県庁講堂で2024年7月25日午後3時26分、植松晃一撮影

 徳島県の公立高校普通科入試(全日制)で設定されている「通学区域制(学区制)」について、中川斉史教育長が当事者の高校生から考えを聞く意見交換会が25日、徳島市の県庁であった。学区制を巡っては、県教育委員5人の間でも存廃で意見が分かれており、県教委として方向性が固まっていない課題について、生徒の考えを聞くのは極めて異例。生徒からは、制度の不合理を指摘する声も上がった。

 意見交換会には、県内の公立高校、特別支援学校、中等教育学校計29校から1~3年生計50人が参加した。5班に分かれた生徒らは、進行促進役を務める教員のリードで、現行学区制のメリット・デメリットや、学区制をどうすべきかの2テーマについて意見を出し合い、班ごとに代表生徒が発表した。

 生徒がメリットに挙げたのは、受験競争緩和のほか、比較的自宅近くの高校へ進学することで通学費用が減る(抑えられる)ことや地元を知ることなど。

 一方、現状の学区制では、同じ高校の合格者でも居住地(学区)によって合格最低点が異なることから、デメリットとして、「住んでいる所によって(合格最低)点数に差ができるのはおかしい」「高い点を取っても行きたい所(高校)に行けない」など制度の矛盾を指摘する声が相次いだ。入学後も合格最低点が異なる学区の合格者が混在するため、「(高校内で)生徒間の学力差が激しい」という指摘もあった。

 学区制全体については、班の意見として、「無くすべきだ」「見直すべきだ」と否定的な結論が複数あり、学区制を廃止すれば、受験生が志望校を目指して勉強に力を入れることを念頭に、「県全体のレベルアップにつながる」との大局的な考えを話す班もあった。

 県教委の政策課題となっているテーマだけに、会場では担当課以外の県教委幹部も立ち見などで生徒の発表に耳を傾ける姿が見られるなど、関心の高さがうかがわれた。県教委は意見交換会で出た考えについて、学区制のあり方を今後検討する際の参考意見とする方針だ。

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