国内屈指の梅産地の和歌山県みなべ町や田辺市などで、全国に出荷される主力産品「南高梅(なんこううめ)」の今年の実の数が激減していることが、地元のJAなどでつくる団体の調査でわかった。みなべ町などJA紀州管内では過去10年の平均の39%、田辺市などJA紀南管内では53%となった。JA紀州管内は大不作だった令和2年を大幅に下回っている。暖冬が影響した可能性があり、5月下旬に始まる収穫を前に関係者は危機感を募らせている。
JA紀州などでつくる「日高果樹技術者協議会」は今月15~18日、みなべ町や印南町、御坊市、日高川町の118カ所の梅畑で南高梅を調査。100節(節=枝から芽が出るところ)あたりの実の平均個数は2・9個で、過去10年の平均(7・5個)の39%だった。主産地のみなべ町と印南町は平均2・1個で、過去10年の平均(7・3個)の29%だった。
大不作だった令和2年の4月の調査では、全体の平均が4・5個、みなべ町と印南町は4・7個で、今年は大幅に減少した。農林水産省によると、和歌山県内の年ごとの梅収穫量は近年ほぼ5万~7万トン台で推移していたが、2年は唯一4万トン台の4万1300トンだった。
JA紀南などで組織する「西牟婁地方果樹技術者協議会」も今月10日、田辺市、上富田町、すさみ町、白浜町の76カ所の梅畑で南高梅を調査。1枝あたりの実の平均個数が過去10年の平均(43個)の53%となる23個だった。2年4月の調査でも23個だった。
2年と今年で共通するのは暖冬で開花が早まったことだ。JA紀南が観測している田辺市の梅畑が満開となったのは、今年が1月30日、2年が2月3日と、過去10年の平均(2月15日)より2週間前後早かった。
和歌山県果樹試験場うめ研究所(みなべ町)によると、12月から翌年2月上旬にかけて気温が高く、梅の開花が早くなると、めしべがなかったり未発達となったりする不完全な花が増え、実がつきにくくなる傾向にあるという。今回の調査結果について同研究所の綱木海成研究員は「不完全な花が増えたことが要因の一つの可能性がある」と指摘する。
県内の梅は3月20日に降った雹(ひょう)によって実に傷がつく被害も出ており、JA紀南営農指導課の射場直之課長は今年の作柄について「ダブルパンチとなり、かなり厳しい。農家は収穫までしっかり管理してほしい」と話している。(張英壽)
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。