40度を超える暑さと連夜のオリンピック観戦で心配される睡眠不足による体力の低下。熱中症による搬送者数は増加しているという。今の時期に注意が必要な生活習慣のポイントをいとう王子神谷内科外科クリニックの伊藤博道院長に聞いた。

夜更かしはほどほどに!

ーー熱中症患者の動向は?
今は最低気温も高くて夜も熱帯夜です。暑い時間帯の切れ目がない状況になっていて、前の日の体内の熱のこもりや脱水、電解質の不足が次の日に持ち越されます。それによって朝方に熱中症の症状が強く出ている人が多いです。

寝る時にエアコンを使っていても設定温度や除湿モードなど設定が間違っていて熱中症になる人もいれば、冷房を継続的に使い続けて喉を傷めて体調不良になる人もいます。

いとう王子神谷内科外科クリニック・伊藤博道院長
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また外は高温多湿で直射日光もきついので、30分以内の短い移動でも熱中症になります。帽子をかぶったり、水分をこまめに摂取するなどの予防をしても熱中症を発症する人はいるので油断はできません。

金メダリスト 柔道男子66キロ級 阿部一二三(左上)、スケートボード女子ストリート 吉沢恋(右上)、フェンシング男子エペ個人 加納虹輝(左下)、競泳男子400メートル個人メドレー 松下知之(右下)

ーーオリンピックが始まって寝不足の人が増えているが?
この時期は“オリンピック応援疲れ”による熱中症に要注意です。競技が白熱して「決勝まで見たい」と朝方まで起きていたり、興奮状態だと眠りも浅くなり体の中に疲労がたまります。そうなると熱中症を発症するリスクは高まるので、睡眠時間は大人で6時間、子供は8時間を維持するようにしてもらいたいです。夜更かしして睡眠時間が短くなってしまった場合は、空調を整えた環境で昼寝をするなどして体の疲れを溜めないようにしてください。

疲労に効く緑黄色野菜と体力回復は肉

暑い日々が続くと心配されるのが食欲の低下だ。麺やおにぎりなど栄養素が炭水化物に傾くと、体力や抵抗力の不足につながるという。熱中症になりにくい体作りをするためには、しっかりと肉や魚などのタンパク質と野菜を摂ることが大事だと伊藤院長は話す。

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ーー食事面で注意することは?
睡眠不足に負けない体作りには栄養が大事です。緑黄色野菜や果物をしっかり食べてビタミンBやビタミンCを補うことで疲労物質をある程度コントロールすることができるし、水分を取ることもできます。またタンパク質も大事です。

暑いと食欲が低下するので、おにぎりやパン、麺ぐらいしか食べられない人が増えてきますが、炭水化物に栄養素が傾くと、体力や抵抗力の不足につながります。そのため、しっかりと肉や魚などでタンパク質を摂ることが大事です。

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ーー改めて有効な熱中症対策は?
食事や睡眠のバランスをしっかりと保つことが大事です。水分のこまめな摂取や塩分の補充、体を冷やすことも重要です。アイススラリーなど冷たいものを体の中に入れることによって、効率良く体を芯から冷やすのも良いです。太い血管が走る首や脇の下などを冷却するグッズを活用して冷やすことも効果的です。

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睡眠不足や栄養バランスの低下は、体力の回復を遅らせるので熱中症の原因になります。そのためにも休養をしっかりとることが大事です。

これからますます決勝レベルの試合が多くなり睡眠不足が進んでくると思いますので、なるべく早い段階で疲れを解消して、栄養をしっかり摂って万全の体調で乗り切っていただきたいと思います。

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