ふわふわ食感が楽しめる「新大久保ふわたまスフレ」

チーズタッカルビ、ハットグ、サムゲタン…。人気グルメの発信地、東京・新大久保で新たな食のトレンドを作ろうと、地元飲食店が新メニューを開発した。鍵となる食材が、日本が世界第2位の消費量という「卵」。新感覚グルメの誕生なるか-。

「冬ソナ」期のサムゲタンから

鉄板の上、真ん中でとろけるたっぷりのチーズ。両脇には甘辛く炒めた野菜と鶏肉。絡めたチーズがびろ~んと伸びる「チーズタッカルビ」は平成28年、新大久保で生まれた。

韓国・春川の郷土料理「タッカルビ」にチーズを追加してアレンジ。翌29年には全国の女子中高生が選考したランキング「JC・JK流行語大賞」の「モノ部門」で1位に輝いた。

そのチーズタッカルビを開発したのが、韓国食品専門店「ソウル市場」の運営や韓国食品の製造販売などを手掛ける「ハッピー食品」(東京都新宿区)だ。

ドラマ「冬のソナタ」から始まった第1次韓流ブーム(15年頃~)に韓国の薬膳料理「サムゲタン」流行の火付け役となった同社。最盛期にはソウル市場で1日に4千個もサムゲタンの食材セットが売れたという。

しかし近年はハットグ(韓国風アメリカンドッグ)など食べ歩き系の軽食がブーム。家庭や飲食店で味わうグルメのヒットを生み出せずにいた。

ハッピー食品の宮本研常務は「韓流ブームとともに育てられてきました。新しい新大久保発のトレンドメニューを開発したい」と意気込む。

若者の心とらえる「卵」を主役に

今回、新メニューの鍵となる食材に選ばれたのは「卵」。開発には、卵を原料とするマヨネーズで知られるキユーピー(東京都渋谷区)が協力した。

「食のトレンドの発信地でもある新大久保で何かできないかと考えていた」と同社広報・グループコミュニケーション室の森田里佳さん。卵は若者に人気があるという。

「栄養価も高く、可能性のある食材。若者に聞いた調査ではかわいいなどのイメージもあることが分かり、新しい新大久保のメニューにぴったり」(森田さん)

卵と韓国料理は相性がよい。「韓国風やみつき卵」が令和4年、クックパッドの食トレンド大賞に。ゆで卵をたれに漬け込んだもので、「麻薬卵」とも呼ばれSNS(交流サイト)で話題となった。

日本は卵の消費量がメキシコに次ぐ世界第2位。一時は価格高騰で食卓の「卵離れ」が生じたが、キユーピーによると最近はタンパク質ブームを背景に、ゆで卵を食べる人が増え、「食卓出現率」も増加したという。

鶏肉と卵を使った韓国風親子丼「ヤンニョムたまチキ丼」

新感覚の「親子丼」など3品

ハッピー食品系列の飲食店「韓サラン」がキユーピーの担当者と開発したのは3つのメニューだ。甘辛いソースで味付けた韓国のからあげとゆで卵をのせた「ヤンニョムたまチキ丼」(1380円)は、タレにゆで卵の淡泊な風味が絶妙にマッチ。ご飯が進む新感覚の親子丼だ。

卵7個を使った蒸し卵料理「新大久保ふわたまスフレ」(1380円)は、ほのかな塩気が卵の味わいを引き立てる。韓国では「ふわたま」にご飯を入れ、かき混ぜて食べることがあるという。

もう一つは日本の「すき焼き」をアレンジし、スパイシーな溶き卵につけて食べる「韓国卵ダレで食べる!鉄板すき焼き」(1480円)。

鉄板にのった「韓国卵ダレで食べる!鉄板すき焼き」

いずれも30日まで、韓サランと「ブルマックヨルサム」(新宿区)で提供し、期間中に好評であれば、定番メニュー化も検討している。キユーピーの森田さんは「新たなトレンドとなれば」と期待を寄せている。

(大渡美咲)

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