茨城県庁

 文部科学省が全国の教員の懲戒処分数などをまとめている統計調査で、茨城県教育委員会が2021年度分の処分数を1000人以上、過少に回答していた。大規模な採点ミスによる処分人数を入れなかったためだが、同種のミスがあった他県では正しい人数を回答している。お粗末ないきさつを取材した。【川島一輝、西夏生】

 県内では21年3月、県立高などの入試で78校988件の採点ミスなどが発覚。県教委は同年5月、該当校の教員196人を減給や戒告の懲戒処分とし、文書訓告を含め教員計1141人を処分した。

 ところが文科省の統計調査には、21年度の処分人数を訓告なども含めて52人と回答。採点ミスによる処分人数は含めなかった。

 高校教育課によると、回答は、同課を含む担当する3課の課長が確認し提出した。提出時の高校教育課長だった柳橋常喜教育長は取材に、採点ミスの処分数は別表で管理していたと述べた上で「(採点ミスを含めた)総数は分かっていたが、調査にどう答えるか確認せず、(採点ミス以外の)本表だけを送付した」と釈明する。3課以外に教育総務課も正しい総数を把握していたが、参照されることはなかったという。

 県教委は、処分時に県教委事務局職員だったなどで回答対象外になる人数を除き、1000人以上の修正回答を8月中にも文科省に出す方針。

 県教委は7月、不祥事根絶研修資料を各学校に配った際も、採点ミスによる処分を除外した数字を使用。担当者は「特異な事案のため除いたと記載すべきだった」と弁解する。

 文科省は毎年度の懲戒処分や休職者の数などを都道府県教委などに調査し、傾向や対応を翌年12月ごろに公表している。担当者は過少報告があれば「調査の趣旨からずれる」と指摘。18年度に大規模な採点ミスがあった山形県教委は、訓告なども合わせて940人の処分を回答している。

 柳橋教育長は「公表してきた案件。隠す隠さないとかはなかった」と隠蔽(いんぺい)の意図を否定した上で、「何を言おうが不信感は出ると思う。反省し、再発防止に努めるという言葉しかない」と陳謝した。

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