令和になり、昔のインテリアなど「昭和レトロ」の人気が高まっています。若い世代でも懐かしさを感じるのはなぜなのか、専門家からは「社会的共通体験」「強い色」がポイントだといいます。

■地域に根付くソウルフードも“回帰”

東海地方のソウルフード「スガキヤラーメン」の「スガキヤ」が2024年6月27日、名古屋市中区に「昭和レトロ」を基調とした新スタイルの店舗をオープンしました。

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店の中はポップな白とピンクのストライプ模様で、懐かしさを感じるペンダントライトもありますが、内装は1970年代ごろの店舗をリアルに再現したものです。

スガキヤは、昭和レトロを新鮮に感じる若者や外国人観光客などを呼び込みたいとしています。

■昭和家電の催しには“平成生まれ”の人も

愛知県北名古屋市の「昭和日常博物館」には、昭和に親しまれていた色とりどりな調理家電が並んでいます。

2024年7月3日から、懐かしい「昭和レトロ」を感じさせる調理家電を集めた展示会が開かれています(9月16日まで)。

鮮やかな赤や緑、可愛らしい花柄が目を引く保温ジャーは、「レトロポップ」と呼ばれる昭和40年(1965年)頃に流行ったデザインで、インテリアとしても楽しまれていたといいます。

小さなキッチンのような家電はこれひとつで、目玉焼き、ホットミルク、トーストが一気に作ることができるハイパー家電です。

他にも食器乾燥機や電子レンジ、ゆで卵を作るための家電など256点が並び、訪れた昭和生まれの人たちは昔に想いを馳せていました。

昭和13(1938)年生まれの女性:
赤いの(保温ジャー)が覚えてるねえ。家族がいたから、今は1人だから大きいの使わないけど。懐かしい、本当に。

平成生まれの人たちも「懐かしさ」を感じていました。

平成3(1991)年生まれの男性:
実際に使ったことはないんですけれども、色合いというか形とかそういうものを含めて、レトロっていう感じは感じました。

■平成生まれでも「昭和レトロ」が懐かしいワケ

名古屋の街で若い人に「昭和レトロ」について聞いてみました。

平成17(2005)年生まれの男性:
濃いめの緑とかが昭和感あるかな、みたいな。

平成18(2006)年生まれの男性:
結構懐かしい気持ちに浸れるかな。

平成16(2004)年生まれの女性:
かわいいと思います。

平成14(2002)年生まれの女性:
懐かしいなって感じです。

現代の生活にはなじみがないにも関わらず、「レトロ感」「懐かしさ」を感じるのはなぜでしょうか。専門家に聞くと、2つのキーワードが出てきました。

1つが「社会的共通体験」です。

昭和レトロの研究をしている立正大学の浅岡隆裕(あさおか・たかひろ)教授は、直接体験していなくとも、刷り込まれたイメージが、「レトロ」「懐かしい」という感情につながっているといいます。

立正大学の浅岡隆裕教授:
ご自身の経験があるというよりも、人の話やメディアでいろいろ見聞きしていることで「昭和=懐かしい」と。例えばメロンソーダを見ると、誰が見ても「懐かしい」と口ずさんでしまうんですけれども、“社会的な共通体験”としてイメージが作られている。

また、日本流行色協会の大澤かほるさんは、“色”がポイントだといいます。

日本流行色協会の大澤かほるさん:
すごく強い色が、今見るとびっくりするような色が使われていたいたんですよ。

キーワードのもう1つが、その「強い色」です。

日本流行色協会の大澤かほるさん:
色って不思議なんですけど、時代とか人の気持ちが敏感に表れますね。当時はモノを持つことにステータスがあった、人々の喜びであったのと同時に、時代の勢いをモノの色が表していた。そういう熱量があった時代ですね。

当時の“右肩上がり”の時代が、今に無い“強い色”として表れていて、そこから「レトロ」「懐かしさ」につながっているといいます。

今との違いについても聞きました。

日本流行色協会の大澤かほるさん:
自然志向というのがすごく強まっているので、強い色を使ったものは確かに減っちゃっています。体の感覚でその人の気配を感じたり人と会話したりするのが当時から比べたら少なくなっている。皮膚感覚で感じる懐かしさっていうのかな、今とは全く違うものを、もしかしたら感じているのかなと思います。

2024年7月5日放送

(東海テレビ)

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