笠間の栗を食べた豚の試食で振る舞われた焼き肉=鯉淵学園農業栄養専門学校で2024年8月20日午後2時36分、鈴木敬子撮影

 茨城県笠間市の規格外の栗を餌にブランド豚を育てるプロジェクトに取り組んできた鯉淵学園農業栄養専門学校(水戸市鯉淵町)でブランド豚が完成し、20日、お披露目会が開かれた。関係者は「おいしい豚肉ができた」と胸を張り、笠間の特産物として広めたい考えだ。

 プロジェクトは一般社団法人「農林水産業みらい基金」の助成事業の一環として、同校が2022年から展開してきた。餌にする栗は、担当の小田野仁美さん(34)らが栗農家を回り、傷みや虫食いがあるものを回収したり、ペースト加工場で出る皮などを無償で譲り受けたりした。特注の粉砕機で細かくして、天日干しで乾燥。トウモロコシや米などの配合飼料に混ぜて、豚に与えてきた。

笠間の栗を食べた豚を調理するプロジェクト関係者=鯉淵学園農業栄養専門学校で2024年8月20日午後2時36分、鈴木敬子撮影

 栗の配合割合や与える期間を調整しながら計6回の試験を重ねたところ、配合飼料に栗を20%混ぜると、味に影響する遊離アミノ酸のうち、うまみや甘みを持つアミノ酸の含量が配合飼料だけの餌と比べて約2倍に増えたという。小田野さんは「脂の甘みが口の中でほんのりと広がり、さっぱりとして食べやすく、味わい深さを感じる豚肉になった」と自信を見せた。

 ブランド豚の名称は「笠間マロンポーク リリカ(鯉栗笠)」で、リリカには同学園と笠間を栗でつないでいるという意味を込めた。今後は年間300~500頭を生産できる体制を目指すと同時に、県内の養豚家で希望する人には飼育方法を伝え、普及に努めていくという。

お披露目会でプロジェクトの経過や成果を報告する担当の小田野仁美さん=鯉淵学園農業栄養専門学校で2024年8月20日午後1時58分、鈴木敬子撮影

 お披露目会には栗の生産者ら45人が参加し、マロンポークを試食した。生産者の女性(83)は「規格外の栗を回収してもらい、大助かり。うちの栗を食べた豚だと思うと余計においしい」と喜んだ。

 百貨店のギフトや東京都内の料理店で取り扱われるほか、9月14~16日は「道の駅かさま」(笠間市手越)でマロンポークのフランクフルトを使ったホットドッグを販売予定。小田野さんは「エビデンスを示すことができ、堂々とマロンポークを紹介できる。笠間の特産物として、地元でも買ってもらえるようにしていきたい」と話した。【鈴木敬子】

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