秋田県内の最低賃金について秋田地方最低賃金審議会は、時給951円に改定するよう秋田労働局に答申した。労働団体などが「さらなる引き上げ」を求める異議を申し出たため21日に改めて検討されたが、審議会は時給951円への引き上げで決着した。この決定について労使や県民にそれぞれの思いを聞いた。

県内の労働者や経営者の代表で組織する秋田地方最低賃金審議会は、県内の最低賃金を54円引き上げ、時給951円とするよう秋田労働局に答申した。54円の引き上げは国の諮問機関が示した目安よりも4円高く、過去最高の上げ幅だ。

これに対し、秋田県労連など12の労働者団体は「引き上げ額は不十分」として異議を申し出た。これを受けて21日に改めて開かれた審議会で、経営者側は「これ以上の引き上げは事業の継続が困難になる可能性がある」と述べた。また、労働者側も「全国に先駆けて国の目安より4円上乗せしたことは評価したい」とし、審議会は答申通り「時給951円とすることが適当」と結論づけた。

 秋田地方最低賃金審議会(経営者側)・小野秀人委員:
「中小・零細事業者にとっては非常に厳しいもの。なかなか価格転嫁が思うように進んでおらず、賃上げの原資を確保するのも難儀している状況にある。国・自治体からの支援の拡充や補完をしていく必要がある」

一方、連合秋田の小川純会長は「金額的にはまだ不満があるが、連合が目標としている2025年の1000円台到達に向けての足がかりができた」と話している。

この金額を県民はどう受け止めているのか、秋田市で聞いた。

 40代女性会社員:
「1000円以下なんだなとちょっとびっくりしている。でも54円上がっているんですよね。今後また50円上がれば1000円を超えるので、そこに期待」

 40代男性会社員:
「いいと思います。秋田県の身の丈にあったと言うと失礼かもしれないが、このくらいが妥当なのでは。すごく頑張ったと思う」

 30代男性会社員:
「物価が高いので、54円上がったところで実感はないかなと思う」

 20代女性会社員: 
「54円は誤差。ガソリンなど自分で負担しなければいけない分を考えると、もう少し必要」

 20代学生(愛知出身):
「4桁はいってほしい。地元が秋田ではないので、愛知の友達と比べると働いている時間は多いけど、もらっている額は少ないことがざらにある。もう少し上がってほしい」

最低賃金の改定額は10月1日から適用される見通し。

国は、最低賃金の全国平均を2030年代半ばまでに1500円まで引き上げる目標を打ち出している。しかし、原材料価格の高騰や人手不足など中小企業を取り巻く環境は厳しく、賃上げに耐えられるのかどうかが課題となっている。

秋田県の企業は99.9%が「中小企業」のため、企業の努力はもちろんだが、国や自治体の支援の拡充が重要になってきそうだ。

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