7月下旬の記録的な大雨から1カ月。大きな被害を受けた秋田県由利本荘市では、これから旬を迎えるシャインマスカットに影響が出ている。実の生育に差が出て房での販売が難しいものもあり、収入の減少は避けられない。それでもシャインマスカットを待つ人になんとか届けようと、生産者が奮闘している。
由利本荘市西目町で2017年からシャインマスカットを生産している齋藤諒汰さん。栽培面積は約40アールで、畑には50本ほどの木が植えられている。
シャインマスカットは順調に育っているように見えるが、中には大雨の被害を受けた木もある。
齋藤さんは「雨で栄養が行き届かなくて、水が多かったりして。うまく栄養がいかなくて細胞が死んでしまっているブドウがある」と話す。
房には虫や日差しから守るための袋がかぶせられるが、極端に生育が悪いものには袋をつけていない。すでに摘み取って処分したものもある。
齋藤さんは7月の記録的な大雨だけでなく、その後の天気にも悩まされた。
齋藤諒汰さん:
「雨が降って地面の土壌水分が高まっているにもかかわらず、その後も曇りや湿度が高い状態が続いた。光合成して蒸散するという流れがあるが、うまくそのサイクルができなかったのが原因じゃないかと思っている。木の半分くらい駄目なものもあれば、被害が出ていないものもある」
正常な房を見ると、大きな実がぎっしりとついていて、皮はつやつやしている。一方、 雨の被害を受けた房を見ると、実の大きさにばらつきがある他、色の濃さが違うものがある。
齋藤諒汰さん:
「正常なのは実を抜くと、ブドウの中に入っている部分が取れてくるが、茶色くなっているものは中の管まで抜けないでぽろっと取れてしまう」
栄養が行き来する管の細胞が機能しなくなったことで、実が成長できなくなっている。柔らかさにも違いがあるという。
齋藤諒汰さん:
「正常なのは今の時期になると、指で押すと弾力があって跳ね返ってくるような感触があるが、雨で湿気の被害を受けた実はかたいままで、力を入れるとミシミシと音がする。完全に7月中旬くらいから成長が止まっている状態」
被害を受けた房は、房としては商品にならないため、単価が下がる「粒売り」で販売する。こうした被害は全体の3割に上っていて、2024年は例年より2割ほど収入が落ち込む見込み。
齋藤諒汰さん:
「使えそうな粒は、ハサミで1個1個丁寧にばらしてパックに入れて粒で売ることもできるので、全部が全部駄目になることはまずない。でも手間も時間もかかる。せっかく作ったブドウなので、無駄がないようにしていけたらいいと思う」
2023年は猛暑や水不足で約3割が被害に遭った。2024年はコメも被害を受けた。田んぼの復旧作業は今シーズンはできそうにない。
齋藤諒汰さん:
「毎年状況が違う。極端な天気になってきているので、作物を育てる上ですごく難しいところかなと思っている。場所によっても違うだろうし、自分の畑に合った解決策を探さなければいけないと思うが、すぐには多分出てこないので、臨機応変に対応しなければいけないと思う。いつも買ってくれる人に、しっかり手に届くようにやらないといけないと思っている」
齋藤さんは気象に頭を悩ませながらも、シャインマスカットを楽しみに待つ人に届けようと管理を続けている。
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