「夏休みの宿題、全部終わらなかった。先生に怒られるかも」「夏休み前にいじめられていた。また学校が始まったら、続くんじゃないか」 実際に相談窓口に寄せられた子どもたちの声だ。夏休みの終わりの時期は子どもが不安や孤独を感じやすくなる。中には学校に戻ることに強い不安を感じ、「行きたくない」という思いに押しつぶされそうになる子どもたちもいる。そんな子どもたちの声に耳を傾け、支える取り組みと相談先の情報をまとめた。
“孤独”という辛さをなくしたい
NPO法人「若者メンタルサポート協会」は、ボランティアスタッフ40人余りが24時間365日の態勢で全国の10代からSNSで寄せられる相談や10代専門の無料LINE相談を行っている。
協会には夏休みが明けて学校が始まる8月から9月にかけては、1年の中でも最も相談が多く、例年8月は2万件ほどの相談が寄せられる。 相談では「新学期になり人間関係がうまくいくか不安だ」とか「学校でいじめを受けるのではないか」といった内容がよく見られるという。協会には1週間で700〜1000人、1ヶ月で20000通の相談が、孤独な子どもたちから寄せられている。そんな子ども・若者たちに、信頼できる家族のような存在を感じて欲しい、常に頼れる、安心できる『居場所』を作ってあげたいという思いから、『相談員の常駐するオンライン居場所』も作られている。
オンライン居場所では、今日の良かったこと・嬉しかったことなどをみんなでシェアし、若者たちが決めたトークテーマについて語り合う。時には、個性的な相談員さんによるミニ講座を開催することも。初めは声も顔も出せず、聞くだけで参加していた若者も、徐々に自分の意見が言えるようになったり、周りの子へのフォローができるようになったりと成長を見ることもあるという。
子どもたちの“こころの居場所”を「チャイルドライン」
子どもたちの声に耳を傾ける、そんな大人の存在が、時に子どもの人生を大きく変えることがある。今、日本中の子どもたちの悩みや不安に寄り添う「チャイルドライン」という取り組みが、静かに広がっている。
チャイルドラインは、18歳までの子どもたちが匿名で相談できる電話サービスだ。「話を聞いてほしい」「誰かとつながっていたい」そんな子どもたちの声に、年間20万件以上も対応している。ここでは、子どもたちの話を「聞く」のではなく、「聴く」ことに重点を置いているという。問題解決を急ぐのではなく、子どもの気持ちに寄り添い、その存在を丸ごと受け止めることで、子どもたちは自分の価値を再確認し、新たな一歩を踏み出す勇気を見いだす。
チャイルドラインの活動は、全国40都道府県の69の電話実施団体と36のオンラインチャット実施団体、そして約2000人のボランティアによって支えられていて、9月4日まで相談員の人数を増やし、より多くの子どもたちの悩みを聞けるよう対応しているという。
チャイルドラインの電話での相談はフリーダイヤルで0120-99-7777(毎日・午後4時~午後9時)※詳しくは「チャイルドライン」のホームページで確認を
長崎の子ども達の「駆け込み居場所」
長崎県でも、夏休み明けの子どもたちを孤立させないための取り組みが行われている。NPO法人フリースクールクレイン・ハーバーは「駆け込み居場所」と呼ばれる場所を設け、学校に行くことが苦痛な子どもたちに安全な居場所を提供している。
この記事の画像(2枚)子どもたちが自殺を選択するまで追い詰められることがないよう、支援を行っている。
「学校に行きたくないけど、親には言えない」「どうしても学校に行けない」そんな思いを抱えた子どもたちに、逃げ場を提供している。このNPOでは「宿題が終わってない子は持ち込んでも大丈夫!みんなは学校で学ぶ権利を持っていると同時に休む権利も持っているんだよ。だから無理をして行かなくても大丈夫。一人で辛い気持ちを抱えずに、同じ気持ちの子と色々お話ししながらゆっくり過ごそう」と呼びかけていて、利用を希望する人はまず連絡をしてほしい。
無料開放期間:令和6年8月29日(木)から9月6日(金)
時間:9:30~17:00
場所:フリースクール クレイン・ハーバー施設(長崎市昭和3丁目387-1)
電話:090-8665-6388
クレイン·ハーバーによると、長崎市外でも「無料開放」している施設がある。
・フリースクールschoot (大村市)
・フリースクールピカピカがっこう(南島原市)
・フリースクールmahana(長崎市)
・自由楽校ゆめまある(川棚町)
開所日や時間はそれぞれの施設で違うのでそれぞれ問い合わせてほしい。
月1開催「まちの保健室」も
さらに気軽にふらっと立ち寄れる「若者の相談場所」は長崎市浜町に2024年オープンした。
長崎市の中心部に誕生したのは正しい性教育を広める活動をしている団体「長崎市性教育コミュニティ アスター」が開く「ユースカフェ」。2024年7月から始まった、月に1回開かれる「まちの相談室」は中学生から20代の若者なら誰でも無料で利用できる。対応するのは看護師や不登校支援者、ソーシャルワーカーなどの「寄り添う専門家」だ。雑談もよし、相談もよし、1人で本を読むもよし。若者たちが抱える様々な悩みを「言葉にすること」が問題に気づく一歩であり、解決の一歩でもある。「ぜひ寄り添ってくれる「専門家」を頼ってほしい」とアスターは話す。
次回:2024年9月2日(月)開催 浜の町保健室「ユースカフェ」
長崎市浜町8-15 1F FROM1(吉宗の通り)
時間:午後1時~午後7時 長崎性教育コミュニティ アスター Instagram(@aster_ngsk)
(テレビ長崎)
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