教員採用の試験結果について説明する県教育委員会の担当者ら=大分市で2024年9月2日午前10時0分、李英浩撮影

 大分県教育委員会は2日、2024年度実施の教員採用の合格者が407人にとどまり、予定していた496人に満たなかったと明らかにした。24年度は文部科学省の要請を受け、人材確保の観点から試験日程を例年より約1カ月早めた。だが、出願者数は前年度より250人以上も少ない1120人にとどまり、県教委は「見込んでいた効果はなかった」との見解を示した。今後、一部の試験区分で初めて「秋選考試験」を実施する。

 文科省はさらなる試験日程の早期化を求めているが、県教委は応じない方針を明らかにした。

 県教委によると、県の教員採用試験は出願者数、実質倍率とも近年減少傾向にある。12年度に1871人だった出願者数は3分の1以上減り、受験者数を合格者数で割った実質倍率も8・4倍から2・6倍に急減。同様の傾向は他県でも見られ、全国的な課題となっている。

 文科省は、受験者数が低迷する中、民間企業の採用活動も早期化し、人材確保がさらに困難になる恐れがあるとみて、23年5月、7月実施が一般的だった採用の1次試験について、24年度は6月16日を目安に前倒しするよう都道府県教委などに求めた。

 県教委も例年7月10日前後だった1次試験を前倒ししたが、出願者減少に歯止めはかからず、担当者は「正直なところ、見込んでいた効果はなかったと思っている」と述べた。

 一方、文科省は今年5月、来年度もさらに約1カ月日程を前倒しし、5月11日を目安とするよう通知した。これに対し、県教委の担当者は、既に5月実施を始めた自治体の採用状況に変化がない点などを挙げ、「1、2カ月早めることは、出願増にはつながらないのではないかと判断している」とし、25年度も6月実施とする考えを示した。

 秋選考試験は、9月中旬から出願を受け付け、25年1月にかけて試験を実施する予定。【李英浩】

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