9月9日は「救急の日」。埼玉県内の小・中学校では、心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)の使い方を学ぶ授業が広がっています。
そのきっかけとなったのは、ある少女の悲しい事故でした。

普段は見られない救急車の車内見学や心臓マッサージやAEDの体験会など、埼玉県内の商業施設で行われた救急の日のイベントは多くの人でにぎわいました。

日本で年間約9万1000人にのぼる心臓の突然死。

桐田明日香さん(当時11)は、小学校で駅伝の練習中、走り終えた直後に心臓発作で倒れ、翌日に亡くなりました。

明日香さんの母・桐田寿子さん:
顔も手も腫れている状態なので、ネームプレートで桐田明日香と確認しなければ娘だと分からない。巻き戻せない時間をその時に体験した。

小学校にはAEDが設置されていましたが、なぜか、倒れた明日香さんには使われませんでした。

心臓停止直後に不規則な呼吸が見られる「死戦期呼吸」。

明日香さんもAEDが必要な死戦期呼吸でしたが、現場の教師は心臓が停止している判断ができなかったのです。

明日香さんの母・桐田寿子さん:
この子にAEDを使わずに誰に使うのかという状況の中で、明日香にはAEDが使われない現状があった。私たち遺族にとって本当につらく受け入れられない現実。

明日香さんの事故を教訓に、さいたま市教育委員会と遺族らは、事故が起きた場合の対応テキストを作成。

「ASUKAモデル」と呼ばれるテキストには、判断に迷っても、胸骨圧迫やAEDの使用をためらわないよう訴えています。

埼玉県内の小学校で行われた救命救急の授業。

さいたま市をはじめとする県内の多くの小・中学校は、明日香さんのような事故を二度と起こさないために、教師や児童・生徒が心肺蘇生の方法を学んでいます。

正しく押すと音が鳴るハート型のクッション。
命をつなぐ一歩となる救命教育は、子どものころからの学習がより効果的だといいます。

医療法人社団晃悠会 ふじみの救急病院 PUSH講習担当講師・杉浦沢果さん:
バイスタンダー(その場にいた)の生徒が初期対応をしてくれると、小・中学生がすごく力になると救命士からも聞いている。(小学生から)講習を受けることは大変価値がある。

講習を受けた児童:
倒れた人を見つけたら、一人でも多くの人を守りたい。

桐田さんらは今週、全国の小学校で救命教育が実施できるよう、文科相に直接要望するということです。

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