少子化が進み、合理的な見直しを迫られる現実がある一方で、特別な教育のための学校も整備され、注目を集めている。

福島県郡山市では、県内各地から高い関心が寄せられている中学校がいよいよ開校する。2025年4月に開校する県立安積中学校だ。
校舎は県立安積高校に併設され、中高一貫教育で「次世代のリーダー」を育てることを目標とする。
来年1月上旬の選抜試験まであと4ヵ月ほどとなったところだが、日曜日には早くも小学4年生、5年生を対象にした模擬試験が行われた。受験を目指す子どもたちが一体何を目指しているのか。そして、模擬試験の問題から見える求められる能力に迫る。

「試験問題を開いて、準備を初めてください」
9月8日行われた模擬試験「県立安積中突破模試」には、福島県内各地から約200人が臨んだ。

<県立安積中学校の特徴>
2025年4月に開校する県立安積中学校は一般的な中学校と比べて、授業時間が長いのが一つの特徴。1週間あたり2時間多く、数学、英語の時間をはじめ、理論的思考やコミュニケーション力を培うディベートなどに力を入れる。
また、少人数指導や難易度別の学習での深い学びを通して「次世代のリーダー」を育成することに特化した学校だ。
模擬試験に挑んだ小学生は「絶対に医者になれるようにしたいから、ちょっとでも近づけるように中学生からやっておきたいと思ったからです」と話す。50代の父親は「本人がもっと色んな事を勉強したいと言っているので、そういう事を学ばせてくれる学校ではあると思うので、そこは応援したいなと思うところです」という。

<求められる能力>
さて、気になるのはどんな能力が求められているのか?模擬試験の実際の問題をもとに模試の運営グループに直撃した。進学プラザグループ郡山本部校・小久保隼徳さんは「1人ひとりの思考力ですとか、その説明をする力、周りを動かす力が求められているのかなっていうイメージです」と話す。

例えば5年生の算数。
テストというと、1問目は数式を解く、というイメージだが、早速図表が出てきた。
並べられているイスと机の数が規則に応じて変化するが、「1列の机を10にしたとき」「机が全部で100になるとき」など膨大な数に対する「椅子の数はいくつ?」という問題だ。
知識の積み重ねはもちろん、深く考える「思考力」とそれを答えとして「表現する力」が求められる。

<深く考える思考力と表現する力>
進学プラザグループの小久保さんは「(安積中学校では)自分が疑問に思ったことですとか、分からなかったこととか、そういうのに対して、『なぜ』っていう風な『深堀り』を深く、根気よく出来る子を求められているかなと思います」と話す。

県立安積中を目指す子どもたちからもそれを想定した努力をしているとの声も。
小学5年生の男の子は「自分的に国語の文章を読むのが好きで、それを算数でも利用できたら良いなと思っているので、文章題をやっています」「先生にこの問題なんでしょうと言われたときに、必ず理由を付けて発表できるようにしたいなと心がけています」といった答えが返ってきた。

目指すのは「次世代のリーダー」!目指す目標に向かって、子どもたちも日々時代に合わせた力を磨いている。

<県立高校再編も進む>
福島県内では高校のあり方も大幅に見直されている。
県立高校はいま大幅な改革に臨んでいて、2019年度からの10年間で全日制で19校の学校を減らす計画だ。2025年度からも高校の統合が予定されている。
少子化による影響もそうだが、各学校とも特色を打ちだし「育てたい生徒像」が明確化されているともいえる。

進学プラザグループの久保木さんによると、受験生は「自分の目標や将来なりたいものに合った学校を見つけること、そして、その学校が求めている生徒像をしっかりと見極めることが、これからますます重要になる」とのこと。

少子化の影響で県内の受験模様も大きく変わっているが、県内の子どもたちが将来の目標に向かってまっすぐ進めるよう応援したい。

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