2024年9月、島根・松江市の書店で開かれたブックフェア。特設の棚に並んだ小説など46作品は、書店の近くにある県立松江農林高校の生徒たちが選んだ本だ。若い世代の活字離れが進む中、高校生に本に触れる楽しさを知ってほしいと、松江農林高校の図書館の司書と図書委員などの生徒たちが企画した。

高校生のオススメ!「ブックフェア」

松江市の松江農林高校。図書館に集まった生徒たちが手にしているのは、手作りの「ポップ」、本の内容などを紹介するメッセージカードだ。学校近くの書店で開かれるブックフェアを翌日に控え、準備を進めていた。生徒たちが考えたメッセージを書き込んだ「ポップ」をひとつひとつラミネートして、店頭に並べるつもりだ。

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「輝け!松農カラー!」と題したこのブックフェアを企画したのは、松江農林高校の学校司書と図書委員、日ごろから図書館をよく利用している生徒たちだ。1カ月ほど前から準備を進めてきた。

若い世代の「活字離れ」に危機感

学校司書の宮本和樹さんは、生徒たちが「図書館に来ても本を手に取らず、本に全く触れていないということが多々見られる状況」だと、若い世代の「活字離れ」を実感しているそうだ。

島根県のまとめによると、2023年度の調査で「読書が好き」と回答した児童・生徒の割合は、小中学校ともに6年前、2017年度に比べ7~8ポイント減少。

宮本先生によると、この学校でも、図書館で1冊も本を借りなかった生徒の割合が2022年度に約3割だったのが、翌年には約4割に増加したということだ。

「本を読むことで、スマホやインターネットとは違う経験も得られると思う」と話す宮本先生。この状況に危機感を持ち、生徒たちが本に触れるきっかけになればと、学校近くにある書店でブックフェアの開催することを思いつき、店に提案したのだった。

活字の世界に…地域の書店を応援

学校で準備を終えた生徒たちは、歩いて書店へ。高校生のブックフェアのために、客の目にもつきやすいレジ横の“一等地”が用意されていた。

生徒たちは、あれこれ思いを巡らせながら、棚をレイアウトしていった。
並んだのは、図書館の貸し出しランキング上位の作品や、生徒が選んだおすすめの本など46作品。手作りのポップを添えられた。

さらに、ブックフェアでは「闇本」のコーナーも。タイトルや著者名が隠された本を、生徒たちのコメントを頼りに購入してもらい、思いがけない本との出会いを楽しんでもらう趣向だ。

生徒にとっても「コメントをどんな風に書いたら、お客さんが買ってみたいと思うかというのを考えるのが難しかった」そうだ。ブックフェアを企画した生徒は「知らない作品が目に留まるよう意識して選びました。少しでも多くの人に、私たちが選んだ本を見てほしいです」と期待を込めた。

宮本先生も「フェアをきっかけに、書店と学校と地域の皆さんとが一体となって、読書文化の活性化ができれば」と、地域の文化を支える役割を持つ書店を応援したいと話した。

若者を活字の世界に…。高校生が企画したブックフェアは、全国で閉店が相次ぎ、苦境に立つ書店に活気を取り戻すための、1つのヒントになるかもしれない。

(TSKさんいん中央テレビ)

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