能登半島地震で被災した新潟市のコメ農家。家が壊れた状態でもコメ作りを続け、9月、稲刈りを迎えました。困難を乗り越えた背景には、おいしいコメを届けたいという強い思いがありました。

■能登半島地震で被災…コメ作り継続に不安も

新潟市西区の中野小屋地区。9月10日、コシヒカリの稲刈りをしていたのは、コメ農家の椎谷郁夫さんです。

【コメ農家 椎谷郁夫さん】
「地震後の種子まき・田植え、みんなで頑張った。それでここまで来たというのは、ひとつホッとしている」

今年1月の能登半島地震で家屋の倒壊などが発生した中野小屋地区。椎谷さんの自宅も母屋が大規模半壊、住居も兼ねた農作業小屋が全壊するなどしました。

【椎谷さんの長男・雅之さん(1月17日)】
「難しいな…。やることいっぱいだし」

コメ作りが継続できるのか不安が高まりましたが…

【コメ農家 椎谷郁夫さん(1月17日)】
「一つ一つやるしかないんだろうね」

椎谷さんは自宅よりも作業場などコメ作りに関わる修理を優先。家族みんなで協力し合い、5月には田植えにこぎ着けました。。

■復旧作業続く中で迎えた稲刈り「消費者においしいコメ届けたい」

稲を管理するかたわら、自宅の修理や解体を進め、被災から約8カ月…

【椎谷さんの長男・雅之さん】
「味は自信がある。いつも通り。普通においしいと言ってもらえたら一番」

無事、稲刈りを迎えました。

【椎谷さんの長男・雅之さん】
「(小屋を)また新しく建てるが、大工さんが忙しくて。見積もりがまだだし、ちょっと時間がかかっている。それよりもコメが先だね」

一方、自宅の母屋はまだ改修中で、小屋の建て直しも見通しは立っていません。それでも…

【コメ農家 椎谷郁夫さん】
「あちこちから『コメないか?コメないか?』と。沖縄とかからもコメがないかと催促が来ている」

コメ不足の影響で農家の果たす役割がより大きくなっている今年…作業工程を早めるなどし、消費者の声に応えようと動き回ります。

椎谷さん以外にも被災した農家の多い中野小屋地区。

【コメ農家 椎谷郁夫さん】
「あの家では、トラクターがぺしゃんこに潰れた。(農家は)コメの収穫が終わって、地震後の気持ちがちょっとホッとしたというのが出てくると思う」

それぞれの背中を押したのは、「おいしいコメを届けたい」という思いだと椎谷さんは話します。

【コメ農家 椎谷郁夫さん】
「色んな面で、私の家もまだ完全に直ったというわけではないが、消費者にコメが届いて『今年のコメおいしいね』と、そういった笑顔が見られれば、一番農家をやっていてうれしさがある」

地震を乗り越えたコメは、まもなく消費者のもとへ届きます

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