2024年もすでに9月。暦の上では秋となり、食欲の秋、スポーツの秋など色々な楽しみがある季節となった。そんな中、「読書の秋」を満喫できる新たなスポットが鹿児島市に誕生した。オープン1カ月、利用者の評判も上々だ。

あらゆる世代が交流できる場所が誕生

吹き抜けとなった円形のフロアにずらりと並ぶ2600冊もの本。すべて、古今東西の絵本だ。

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鹿児島市に2024年7月に誕生した「かもいけみらいの森」。
保育施設や介護施設などが一体となった施設で、子どもからお年寄りまで、あらゆる世代の人たちが集う交流の場となることを目指している。

そんな「かもいけみらいの森」の中核施設として、8月1日にオープンしたのが、「えほん図書館」だ。誰でも無料で利用できる鹿児島県内初の絵本だけの図書館。

全国各地で「こども図書館」を手がけてきた世界的建築家の安藤忠雄さんによる設計で、開放的な空間で静かな時間を過ごすことができる。

あらゆる世代が集える居心地の良さ

絵本というと、子ども向けのイメージが強いかもしれないが、少ない文章と親しみやすい絵で紡がれる物語は、子どもから大人まで多くの人を引きつける力を持っている。

そんな絵本を集めた図書館だからこそ、あらゆる世代が交流できる場を目指す施設のコンセプトにぴったり。子どもの時に読んだお気に入りの絵本に再び出会う…なんてこともあるかも?

利用者は「すごくすてきだと思う。子どもたちも絵本を見たり、本に触れる機会が最近なかなかないので、本に触れるすごく良い機会になると思う」と話す。

本棚に並ぶ絵本は、ほとんどが県内外から寄贈されたもの。「えほん図書館」への期待がうかがえるが、開館から1カ月余りがたち、施設側も手応えを感じているようだ。

かもいけみらいの森・中重敬子施設長は「子どもたちや赤ちゃんを連れたお母さん、お父さんなど、あらゆる世代の人が来てくれたので、私たちのスタートとしては良かったのではないかと思う。子どもたちや大人も『ここは居心地が良い』と言って『居場所が見つかって良かった』という子どもたちもいて非常にうれしく思う」と、幅広い利用者からの反応について語る。

「絵本専門士」のおすすめ絵本

えほん図書館では「絵本専門士」と呼ばれる資格を持った職員も働いていて、読み聞かせや、おすすめの絵本の紹介をしている。

その絵本専門士・森ゆかりさんによると、「ルピナスさん(作:バーバラ・クーニー ほるぷ出版)」がおすすめの絵本だという。

絵本専門士・森ゆかりさん:
幼いアリスがおじいちゃんと3つの約束をします。その3つ目の約束を、年老いたアリスがついに果たす時が来るというお話。人生の仕上げに何ができるのか、考えさせられるお話です。

親しみやすい絵の一方で、時に私たちの人生に様々な彩りや、教訓を与えてくれることもある絵本。小さい頃に読んだ絵本を大人になって読み返してみると、新たな発見があることも。昔とは全く違う読み方ができるかもしれない。

中重施設長は今後について、「このえほん図書館で、自分のモヤモヤを絵本で癒やしたり、リラックスする。そういうことを絵本の力を借りてやっていただけたら。ここは“みらいの森”というので、ここで皆さんに自分の可能性を見つけてほしい」と語った。

施設外への貸し出しは行っていないため、施設の中で楽しんでもらいたい。

まだまだ残暑が厳しいが季節は読書の秋。思わず時間のたつをの忘れてしまう癒やしの空間で、子どもからお年寄りまでそれぞれの視点で絵本を楽しんではいかがだろうか。

(鹿児島テレビ)

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