今回の主役ママは札幌市厚別区に暮らしているめぐみさん、37歳。パパとは離れて暮らしているため、10歳と0歳の2人の子どもを1人で育てています。

 めぐみさんのお仕事は納棺師。「おくりびと」としても知られる職業で、これまでに50人近い人たちを送ってきました。

 子育てをしながら家族を亡くした人に向き合う納棺師ママの1日を追いました。

 朝6時30分。まずは朝食の準備から。

 生後10ヶ月のまさきくんの食事はまだ離乳食。ゆうなさんとまさきくん、それぞれ違う2種類のご飯を用意します。


 そんな忙しい朝の時間、ママを手助けしてくれるのが100円ショップのアイディア商品。

 一度に2つのおにぎりが作れるアイテムは、きれいな三角おにぎりが手をよごさずつくれて超便利。仕上がりもきれいです。

 とにかく手がかかる0歳の育児。離乳食が始まった今も深夜に3回ミルクをあげる生活が続いています。

 少しでも体力を温存するために活用しているのは、これまた100円アイテム。


 付け替えるだけで、食器用洗剤が簡単にポンプ式のボトルになるというアイディア商品です。

 市販品の多くは、ボトルを逆さにする必要があり面倒。でも、ポンプ式ならワンプッシュでOK。


 身支度は台所でまさきくんを見守りながら。

 この日は夏休み中のゆうなさんを家に置いて8時には出発です。

 車の中で朝ごはんのおにぎりを食べながら「朝食べさせる時間、睡眠不足の生活、仕事の両立…やっと慣れてきました」と話すめぐみさん。育児と仕事、両立のコツは“慣れ”のようです。


 札幌市内の葬儀会社で納棺師として働くめぐみさん。この日担当することになったのは、突然の事故で亡くなった70代の男性と、そのご遺族です。

 遺体の安置から出棺までの全てに納棺師が関わるこの会社。めぐみさんはその中でも葬儀の打ち合わせと、一番最初の遺体のケア、初期処置を担当しています。


 遺体は刻一刻と変化をし続けます。その変化をお別れの最後の瞬間まで、できる限り食い止めるのがめぐみさんの仕事です。

 最初にしっかり処置を行うことで生前と変わらない姿で最後までお見送りすることができるといいます。

 元々は料理人を目指して、飲食店で働いていためぐみさん。

 20代前半で経験した祖父母の葬儀で納棺師の仕事の大切さに気づき、志すことを決めました。

 祖父母の葬儀は正反対。最初の祖父の葬儀は、葬儀会社に言われるがままの内容、祭壇も立派でいろいろなものがついていたのだそう。


 何年か後の祖母の葬儀は何もつけなかったところ、とても寂しい葬儀になってしまったのだとか。

 マニュアル通りの形式ばった葬儀を目の当たりにしためぐみさんは、残されたご家族に悔いのないあたたかい葬儀ができるようお手伝いをしたいと考えています。

 「『あれぐらいしてあげればよかった』はある。でも後からしてあげることはできない。送る側が後悔がないように、どういうふうに送ってさし上げるかが大事」と話します。


 仕事を終え、午後6時30分には保育園へお迎えに。かわいいわが子の姿を見て、ようやく表情に笑顔が戻るめぐみママです。

 ここから超特急で家事をこなします。


 「これ作ろうと思っても作る気力がなかったりする」というめぐみさん。この日はスーパーで買った味付き肉で時短することに。焼くだけで簡単に1品完成です。

 包丁やまな板を使わずフライパンの上でカットします。あっという間に長女ゆうなさんのご飯が出来上がりました。


 一方、長男まさきくんの離乳食は、お助けアイテムで時短。

 味のない野菜スープに入れたのは、ベビー用品ブランド和光堂の離乳食お助けアイテム。簡単にとろみのついたクリームスープが出来上がるんです。


 離乳食を作っても食べてもらえないこともしばしば。

 食べたいときも、食べたくないときもある。子どもの気持ちに寄り添おうとするめぐみさんの心地よいやさしさが仕事にも生かされているのかもしれません。


 遺族との打ち合わせで、めぐみさんが大切にしていることがあります。故人が好きだったもの」を聞くこと。

 「『好きだったよね』とか『看護師の仕事頑張ってたよね』と、そこで思い出話ができたり。残されたご家族様はその後、生きていかなきゃいけないので、いいお別れができればいい生活、いい未来が送れる」と話すめぐみさん。

 わが子に寄り添うのと同じように、やさしくあたたかい気持ちで遺族に寄り添っていました。

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