2022年の豪雨で一部区間の運休が続くJR米坂線。沿線自治体とJR側の交渉が平行線を辿る中、8月に早期の復旧を願うイベントが山形県で開かれた。イベントには花角知事も参加。そこで語ったのは、復旧を進めるための「知恵」を出すことの必要性だった。赤字路線は被災したら復旧できないのか…活路を見いだすための知恵が求められている。
“米坂線”早期復旧願うイベントに知事参加
列車が走っていないことを表すかのように線路を覆ってしまっている草。
これは2022年8月に新潟県北部を襲った記録的豪雨により被災し、今も一部区間で運休が続く米坂線の線路だ。
この記事の画像(11枚)2年以上もの間、止まったままとなっている米坂線を何とか復活させようと8月31日、山形県小国町で早期復旧を願うイベントが行われた。
山形県の吉村美栄子知事と新潟県の花角英世知事も参加し、「きょうが本当のスタート。県、そして市町村・国を巻き込んで、一日も早い復旧を皆さんと一緒に力を合わせて実現していこう!」と呼びかけた。
沿線自治体の特産品などを集め、復旧への機運を盛り上げるが、その道筋は描けていないのが現状だ。
花角知事は「機運の盛り上げだとか、地域住民の思いというものをしっかりとつかむ必要があるが、あとは知恵を出していかなければダメ。そこはこれからですね…」と話した。
自治体とJR 復旧めぐる議論は平行線に…
課題は大きく2つ。復旧にかかる約86億円の費用をどう捻出するのか。そして、もう一つが、復旧後の運営だ。
5月のJR東日本との会議で、新潟支社の三島大輔企画総務部長は「被災前と同じように当社が運営することを前提とした復旧は、民間企業としては持続可能性の観点から難しいと考えている」と説明した。
沿線自治体との協議の中で利用が低迷している中で、復旧後の米坂線をJR単体で運営することは難しいとの見解を示したJR東日本。
運営はJRが行い、施設は沿線自治体が保有する案など4つのパターンを沿線自治体に提示しているが、花角知事は「基本的にはJRによる鉄道の災害復旧と運営を求めていきたい」として、議論は平行線をたどっていた。
JR東日本新潟支社の白山弘子支社長は「費用感だとか、どのような課題があるか、深めていかないと、おそらく方向性は出てこないだろうと思っている」と7月の会見で話していた。
JRによる復旧・運営以外の方策は…「知恵出していく」
こうした中、山形県でのイベントに出席した花角知事は「一義的にはJRさんに当然復旧していただきたいと思うし、その先の運営もお願いしたいところだが、それはこれからの議論」と平行線をたどっていた協議を進めるためにも、JRによる復旧・運営以外の方策を探っていく考えをにじませた。
赤字路線は被災したら復活できないのか…復旧への活路を見いだすためにも、花角知事は知恵を出し合うことが重要だと強調する。
「復旧するためにはお金がいるわけで、どういう形でお金を確保していけるのか、さらにその復旧のあとの運営というところもJRからすでに提案が出ているので、そうしたことも合わせて知恵を出していく」
一方で、白山支社長は9月19日の会見で、沿線自治体との協議の場を設けるメドは立っていないとの現状を明かしつつも、「こうしたイベントの機運が実際にお客様のご利用につながる。そこに今後も注目していきたい。2つの県・複数の沿線自治体の皆様と丁寧に議論しているところではあるから、しっかりと向き合ってお話を前に進めていければと思う」と語った。
(NST新潟総合テレビ)
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