特集は二刀流の小学生です。長野県諏訪市の小学6年生の男子児童が打ち込むのは相撲とピアノ。いずれも「全国レベル」の実力です。文武両道で励む12歳。原動力は「負けず嫌い」でした。


■夢中になって猛烈に頑張る

長野県諏訪市の中州小学校。社会の授業でクラスメイトとグループワークに取り組む秋山慶太郎さん(12)。

秋山慶太郎さん(12):
「平安時代の貴族の暮らしをやっています。すごく豪華なので体験してみたいと思いました」


教室では一見、普通の小学生ですが、放課後は二つのことに打ち込んでいます。

ひとつは相撲。塩尻市のクラブに所属し、稽古に励んでいます。

監督:
「よいしょ、持ってく。そうそうそうだよ」

身長150センチ、体重50キロと体格はそこまで大きくありませんが、これまでに2度、全国大会出場を果たしています。


そして、もう一つはピアノ。週1回、茅野市でレッスンを受けています。

こちらは2024年2月の全国コンクールで金賞に輝きました。

相撲とピアノ。慶太郎さんは「二刀流」で活躍しています。

秋山慶太郎さん(12):
「大変ではあるんですけど大会でいい成績を収められたりするので、それがやる気につながっているんじゃないかと」

さらに、陸上の短距離走や体操も得意。

地域の大会や県大会で入賞を重ねてきました。自宅には賞状が所せましと飾られています。


母・晶子さん:
「一つのことをやると全部夢中になって一番になるために頑張るみたいな感じで、猛烈に頑張っちゃうというところはあります」


■できないのが嫌い

夢中になって猛烈に頑張る。

特にその様子が見られたのがー。

秋山慶太郎さん:
「アスレチックに行ったりとか、よくしていたと思います。チャレンジすることで成功できる喜びがあったからです」

父・健太郎さん:
「負けず嫌いですね、とにかく。絶対終わるまでやめないとか」

母・晶子さん:
「できないというのが嫌いというのが力の源かなと思うんですよね。親もそれを待つのは大変で、日が暮れようともやっているので」

両親は、夢中になる慶太郎さんをやめさせることなく見守ってきました。この姿勢が慶太郎さんの力を伸ばしてきたともいえます。


■手先が不器用 克服するためピアノを

体を動かすのは得意でしたが、苦手なことも。

秋山慶太郎さん:
「手先が不器用すぎたからです。丸をはさみで切る時も三角になったりします」

それを克服しようと4歳で始めたのがピアノでした。

母・晶子さん:
「1つの曲が弾けるまではかなり大変で、もうこれは向いてないんじゃないかなと思ったことも何度もありました」


2年生の時、初めて出場したコンクールの地区予選では最下位でしたが、練習を重ね4年生と5年生の時には、7000人近くが参加する日本バッハコンクールの全国大会に出場。

5年生の時に「小学5・6年A部門」で出場者196人中20人の金賞に選ばれました。


指導してきた小池由美さんはー。

YUMI MUSIC STUDIO・小池由美さん:
「パワーの塊だと思います。生命力の塊というか、生きる力がみなぎってくるような。前は器用ではなく、時間はかかっていたが、前よりは早くなってきました」

秋山慶太郎さん:
「すらすらきれいな音で弾けるようになるまでの過程が楽しいです。相撲をやっていると、生命力がこもった演奏に生きてるかなと思います」


■小学1年生の時に出会った相撲

慶太郎さんの「負けず嫌い」が遺憾なく発揮されてきたのが、小学1年生の時に出会った相撲です。

両親の勧めでわんぱく相撲の諏訪圏大会に出場。未経験ながら、1年生の部で優勝。

陸上競技や体操と並行して相撲も習い始めました。


4年生で初めて全国大会に出場。

5年生の時は、諏訪圏大会は準優勝。県大会に進みましたが振るわず、全国大会には出場できませんでした。

秋山慶太郎さん:
「(全国大会に)5年生の時はいけなくて、それがとても悔しかったので6年生は絶対出たいなと思い相撲に絞りました」


再び、全国大会へ。

稽古を積みながら体重の増量にも取り組み、重くなると不利な陸上競技と体操はセーブして相撲に専念してきました。


その結果、諏訪圏大会は優勝。県大会では4位入賞を果たし、全国大会出場の切符をつかみました。

秋山慶太郎さん:
「全国大会に出るために毎日練習していたので、とても感動しました」

そして、迎えた両国国技館での全国大会。

初戦で惜しくも敗れました。

秋山慶太郎さん:
「対策とかもやってたんですけど、負けちゃって悔しかったです」


しばらく大会はありませんが、相撲は続けることにしています。

信州塩尻相撲クラブ・小林雄矢監督:
「絶対負けないぞという強い気持ちがあるので、これからさらに体をつくっていければ、全国でも通じる子になっていくと思います」


■将来の夢は「科学者」と「実業家」

小学校生活はあと半年。実は「負けず嫌い」は勉強でも発揮されていて、全国規模のテストで県内3位になったこともあります。

そんな慶太郎さんの「将来の夢」はー。

秋山慶太郎さん:
「科学者と実業家ですね。今はスポーツなどを多くやっているんですけど、実力的に全国でやるというのは大変。それ以前に世の中の人の気持ちを動かすということなんですよね。だから、仕組みを変えていきたいので科学者や実業家になりたいと思います」

相撲も、ピアノも、勉強も。

慶太郎さんの頑張りは「アスレチック」で遊んでいたあの頃と変わっていません。

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