9月26日は「世界避妊デー」。
避妊の選択肢が米欧と比べて限られていると指摘される日本でも、望まない妊娠を防ぐために性交後に服用する「緊急避妊薬」(アフターピル)の薬局での試験販売が、昨年11月から始まった。市民団体は、緊急避妊薬を薬局で買い求められるようにするOTC(市販薬)化の早期実現を求めて国への働きかけを続けている。
市民団体「緊急避妊薬の薬局での入手を実現する市民プロジェクト」は、自民党総裁選(27日投開票)と立憲民主党代表選を前に、それぞれの候補者に、緊急避妊薬のOTC化の是非などを問うアンケートを行った。
ほとんど無回答のアンケート
だが、自民の8候補からは期日までに回答がなく、小泉進次郎元環境相は「(総裁選期間中の)各方面からのアンケートにつきましては、党からの通達により回答を見送らせていただきます」と返答した。
党が各種団体のアンケートへの回答自粛を求める通達を出していたとみられる。
一方、立憲では枝野幸男元代表、泉健太前代表、吉田晴美衆院議員の3氏が「賛成」と回答したものの、新代表に選出された野田佳彦元首相からは回答はなかったという。
アンケ-トを実施した団体の共同代表を務める染矢明日香さんは「民意として緊急避妊薬を求める声が多かったことを質問状に記載したが、ほとんど回答がなかったことは非常に残念」と述べた。
特に、次期首相を事実上選ぶ自民党総裁選の候補者が無回答だったことについては「昨年政府は緊急避妊薬の処方箋なしでの薬局での販売を求める国連の勧告を『受け入れる』と回答したのだから、喫緊の課題として実現してほしい」と胸の内を語った。
必要としている人に届かないもどかしさ
緊急避妊薬のOTC化を巡っては、国の研究事業として、薬局での試験販売が始まった。事業は今年3月で終了予定だったが、厚生労働省は「データ不足」を理由に来年3月までの延長を決めた。
避妊や性教育の充実を訴える団体「#なんでないのプロジェクト」は今年4月、試験販売での購入を試みた68人を対象にアンケートを実施。85%に当たる58人が、対象薬局が近くになかったり、購入までの手順の煩雑さから購入できなかったと回答した。
必要としている人の手元に届いていない――。
染矢さんはこうした現状が続いていることをもどかしく思っている。
「緊急避妊薬の使用は決して恥ずかしいことではなく、当たり前の権利です。低価格化や性教育の充実も含め、必要としているすべての人がアクセスできる日が一日でも早く訪れるように、世界避妊デーに自分ごととして思いを巡らせてほしい」
世界避妊デーは2007年、避妊に関する意識を高め、望まれない妊娠をなくすことなどを目的に、避妊に関する意識向上などに取り組む複数の国際団体によって定められたとされる。すべての人が「性と生殖に関する健康と権利(SRHR)」を享受できる社会をつくるため、世界中でさまざまなキャンペーンが行われる。【杉田寿子】
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