7日の「舞鶴引き揚げの日」を前に、京都府舞鶴市桃山町の市立三笠小で3日、「引き揚げ給食」があった。戦後、シベリアなどから舞鶴港に引き揚げてきた人たちに提供された食事を再現したもので、子どもたちは引き揚げ者に思いを馳(は)せていた。17日までに全小中学校25校で実施する。
市は条例で10月7日を「舞鶴引き揚げの日」に制定している。戦後間もない1945年10月7日、最初の引き揚げ船「雲仙丸」が韓国・釜山から舞鶴港に入港した日を記念した。舞鶴港への引き揚げは58年9月7日、最終船「白山丸」が樺太から入港するまで13年間続いた。舞鶴港への引き揚げ者は約66万人に上り、市民はお茶やふかしイモを差し入れ、温かく迎えた記録が残っている。
「引き揚げ給食」はそうした舞鶴の歴史を学び、平和の尊さを世界に発信する取り組みの一環で、2020年度から始まった。再現したのは1958年に舞鶴地方引揚援護局で提供された夕食のメニュー。麦ご飯、小アジの天ぷら、カレー汁、漬物などで、今年は材料確保の関係で小アジをイワシとした。
三笠小では、授業で引き揚げの歴史を学んでおり、この日の給食の前に校内放送で児童が歴史を紹介した。
6年の倉内星那さん(11)は「イワシの天ぷらがおいしかった。引き揚げのことを学び、日本に帰ることができた人は本当にうれしかっただろうと思いました。戦争は二度としてはいけないと思います」と話していた。【塩田敏夫】
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