愛知県蒲郡市の竹島水族館は12日、新館などのリニューアル工事を終え、グランドオープンする。それに合わせ、市外在住者の入館料も900円から1200円に値上げする。値上げは4月に続き2回目で、動物の餌代や光熱費などの高騰が影響。同館は「動物たちの飼育環境を維持し、より快適に観覧できる環境を作っていく」と理解を求めている。
同館の入館料は、2023年度までは一律500円(中学生以下200円)だったが、物価高騰などに伴い、今年4月に市外からの来館者については900円(同500円)に変更。今回、さらに大人料金を300円値上げする。
同館は元々は蒲郡市の直営で、入館料などは市条例で決められている。23年3月に改正された市条例で、市民の入館料は上限500円、市外は上限1200円と定められ、市内外で料金差がつけられるようになった。
居住地などによって観光地の入場料に差をつける「二重価格」を巡っては、兵庫県姫路市が世界遺産・姫路城の入城料を市民以外は現行の2~3倍に引き上げる方針で検討しているが、国内での導入はまだ珍しい。
指定管理者により運営されていた同水族館は、今年度から運営権を民間事業者に譲渡する「コンセッション方式」に移行。これにより、市は従来の指定管理料2200万円を削減できた。市観光まちづくり課の担当者は「単純なコストカットだけではなく、より魅力的な施設にするために経営の自由度が増すという側面もある」と狙いを語る。
観光マーケティングに詳しい名古屋産業大の傍嶋則之教授は「同水族館は、これまでの料金設定が非常に良心的だった。民間運営に移行し、リニューアルのためのコストが増す中で、利用者の負担はむしろ抑えられているのではないか」と評価する。
同館はグランドオープンにより、かつて人気を集めていたカピバラの展示やショーを新設の屋外飼育舎で再開。新館には幅約7メートル、高さ約3メートル、容量120トンの「深海大水槽」を設置し、タカアシガニなどの深海生物を展示する。大水槽は国内最大級の規模で、小林龍二館長は「市外から来られる方にも満足いただけるものにしたい」と話している。【梶原遊】
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