長崎県北部の佐世保湾に浮かぶ「九十九島(くじゅうくしま)」は、大小208の島々からなる景勝地だ。その地の名を冠した焼き菓子は、パリッとした食感とピーナツの香ばしさで70年を超えて愛され、この9月には初の姉妹品が誕生した。
1951年、前身の菓子店が創業3年目に「九十九島せんぺい」を発売した。縁起の良い亀の甲羅をかたどった六角形の生地に、島々を投影したピーナツをちりばめた。原料に米ではなく小麦を使うため、名前は「せんぺい」と表し、にごらない。
知名度アップのきっかけは55年、九十九島が西海国立公園に指定されたことだった。全国から観光客が訪れるようになり、その後、年間の販売数は当初の約7倍にあたる約600万枚に伸びた。
2023年には、日本記念日協会によって9月19日が「九十九島せんぺいの日」と認定された。23年度は約700万枚を生産。売り上げは約6億円に上る。
記念日制定から1周年となる24年9月19日、姉妹品として「九十九島せんぺいフィナンシェ」がお目見えした。せんぺいを粉状にして生地に練り込んだ新スイーツで、せんぺいの香ばしさを生かしつつ、しっとりした口当たりが早くも人気を呼んでいるという。
現在、製造・販売を手がける九十九島グループの長崎営業部長、前田慶史さん(46)は「九十九島せんぺいは地元の方に育てていただいた銘菓。全国のより多くの方に知っていただくために、フィナンシェが一つのいい材料になってくるのではないか」と期待する。将来は、せんぺいとフィナンシェのセット展開も思い描いている。【井上和也】
九十九島せんぺい
製造・販売する九十九島グループ本社は長崎県佐世保市日宇町。九十九島せんぺいは8枚入り756円、フィナンシェは5個入り1080円。パッケージは佐賀県出身の画家・中島潔氏のデザイン。九十九島せんぺい本舗松浦店(0956・22・9109)。
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