明治安田生命が17日に発表した男性の育児休業に関する調査によると、取得率は33・4%だった。前年に続き3割を超え、過去最高となった。ただ、男性の勤務先の企業規模別にみると、大企業に比べ中小企業の取得率は格段に低かったほか、夫婦間の育児負担割合が依然妻に偏っている格差も鮮明になった。
調査は0~6歳の子供がいる既婚男女を対象に9月、インターネットで実施。1100人の回答を集計した。
男性の育休について、「1日以上」取得した人の割合は、前年調査から2・6ポイント上昇し、33・4%だった。取得日数も前年より1日延びて平均42日で過去最高だった。一方、「取得日数0日」と答えた人も53・8%とまだ多く、明治安田総合研究所フェローチーフエコノミスト小玉祐一さんは「男性育休の普及はまだ道半ば」と評価している。
さらに育休の取得状況を企業規模別に見ると、大企業に勤務する人では51・6%と過半に及んでいるのに対し、中小企業では26・2%と4人に1人程度にとどまった。
「理想通り育休をとれなかった理由」を尋ねると、企業規模にかかわらず「金銭面」(29・7%)が最多だった。小玉さんは「育休手当からは社会保険料を支払わなくてよいため、思っているほど手取り収入は減らないのでは」と周知を促している。「復帰後の周囲の雰囲気に不安がある」(15%)、「職場の理解不足」(14・3%)といった懸念を指摘する声もあった。実際に育休からの復職後に「気まずさを感じた」という男性は約4割に上る。
特に従業員数の少ない中小企業では「1人抜けることの業務への影響が大きく、人手不足のなか補充も難しいことが普及を妨げている」(小玉さん)と育休を取得する厳しい状況を分析。取得率向上のため、「職場の理解」や「官民一体となった職場の風土や働き方改革への取り組み強化」が必要と述べている。
育児の分担割合はほぼ変化なし
男性の育休取得率が上昇しつつある一方、夫婦間の家事や育児の分担割合は女性に偏る状況が続く。
男性育休取得率は18年(16・8%)からほぼ倍増したのに対し、男性が受け持つ育児の分担割合(共働き世帯)は、18年が24・1%、今回は29・8%で、ほとんど変わっていない。
育児分担割合が妻より低いと答えた男性にその理由を尋ねると、「自身の方が妻より収入が高く仕事をセーブできない」(39・1%)、「育児を理由に自分の仕事をセーブしづらい雰囲気」(22・8%)と就業環境に関する答えが多かった。また、「妻に子供がなついている」(13・5%)、「子育てをするのは妻がメインの役割だと思う」(9%)とする回答が続いた。【嶋田夕子】
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