日々進化するドローン。

人命救助の現場でも、ドローンが活躍する未来がすぐにやってきそうだ。

10月21日、北海道南部の福島町で最先端技術を活用した防災実験が行われた。

ドローンで近づく人命救助の未来

「避難していない住民がいないか確認したいので、ドローンによる状況の確認の実施をお願いします」(防災担当者)

「了解しました。コントローラーとのリンク確立を確認。これより飛行および映像配信を開始します」(ドローン操縦者)

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21日に福島町で行われた、地震と津波を想定した防災訓練だ。

町の防災担当者の指示でドローンが離陸した。

「映像撮影を開始します。上昇します。上昇」(ドローン操縦者)

町の中心部に設置された災害対策本部から約6キロ離れた場所にドローンを飛ばし、逃げ遅れた人がいないか、上空から確認する。

一見すると普通のドローンだが、訓練に参加した町民も驚く最新技術が導入されている。

AI技術で自動的に人影を検出

「操縦者が5キロ先のドローンを映像を見ながら動かしている。要救助者と思われる人影を検出している。画面上で緑色で枠が囲まれた部分。これがAIが人を見つけたところだ」(NTTイードローンテクノロジー 門脇俊介さん)

(映像提供)北海道庁

今や上空から映像でAIが自動的に逃げ遅れた人を見つけることができる。

海中ドローンも投入、3D映像で状況把握

さらに、この映像はこの夏、防災訓練を前に福島町で行われたドローンの実験で作られた海底の3D映像だ。

「藻場管理等に向けた地域環境の3次元化」(映像提供)北海道庁

また、空から地域の立体映像を作成することも可能で、土砂崩れなどの災害の状況確認にも期待されている。

「藻場管理等に向けた地域環境の3次元化」(映像提供)北海道庁

地域の担い手を育成する取り組み

「映像配信を開始します。確認してください」(福島商業高校1年 野崎紘平さん)

「ありがとうございます。本部でも確認できています」(門脇さん)

実は、パイロットの隣で本部とのやり取りや電波状況の確認など防災訓練をサポートしているのは、地元・福島商業高校の生徒たちだ。

高校と町の教育委員会は2023年から、ドローンやプログラミングなどのデジタル分野の授業に力を入れている。

新入生を増やすことで、町唯一の高校を存続させ、町の担い手を育てることを目指している。

「ドローンって凄いなって思いますね。遊びから仕事や救助までとなると将来が楽しみです」(野崎さん)

防災技術者が語るドローンの重要性

防災対策を研究するドローンの技術者は、過疎地域でのデジタル技術の利用についてこう話す。

「担い手の不足でも最先端の技術を使い、少ない人数でもカバーするのは、地方の町でこそ必要だと思う」(門脇さん)

また、ドローンを使った防災訓練を主導した北海道の担当者はこう語る。

「日常的にドローンを使う必要がある。災害時にドローンを引っ張り出して使うのはなかなか難しく、日常から使っておくことで災害時にも使いやすくなると思う」(北海道総合政策部 黒沢厚さん)

命を救うため、更なるドローンの進歩が期待されている。

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