「ナラノヤエザクラ」を題材とした能の一場面。華やかな舞に観客が酔いしれた=27日午後、奈良市(山田耕一撮影)

奈良で古くから愛されてきた桜の一品種「ナラノヤエザクラ」を題材にした能「八重桜」が27日、奈良市の奈良春日野国際フォーラム甍(いらか)・能楽ホールで復活上演され、古都の名花を伝える舞がよみがえった。

奈良の春日明神に参詣した天皇の臣下が翁(おきな)から縁起を聞いた夜、水谷の神(現在の春日大社摂社)が現れて舞い、ナラノヤエザクラが咲き誇る中で平穏な世を寿ぐ-という内容。室町時代に作られたといわれるが、江戸時代以降は上演されずに埋もれていた。

ナラノヤエザクラは平安時代に歌に詠まれるなどした清楚(せいそ)な桜。この桜の保護育成に取り組む地元の団体が、能を通じて花の美しさを知ってもらおうと復曲を計画し、奈良ゆかりの能楽金春(こんぱる)流と上演を目指してきた。

この日の舞台では、金春流能楽師が桜花をたたえる舞を披露。華やいだ雰囲気が観客約500人を魅了した。

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