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<地中海式ダイエットにDASHダイエット(高血圧予防のための食事療法)を介在させて神経の変性を遅らせる食事法「MIND食」。無理な制限より賢い選択、認知症対策につながる可能性も>

脳の健康のために開発された食事法「MIND(マインド)ダイエット(Mediterranean-DASH Intervention for Neurodegenerative Delay Diet)」が、認知症やアルツハイマー病、加齢による記憶障害に伴う認知能力の低下を遅らせたり予防したりできる可能性について、新たな研究が米学術誌ニューロロジーに発表された。

MIND食とは、地中海式ダイエットにDASHダイエット(高血圧予防のための食事療法)を介在させて神経の変性を遅らせる食事法のこと。心臓の健康から総体的な長寿まで数多くの健康効果との関連性が指摘されている地中海式ダイエットと、血圧を下げることを目的に開発されたDASHダイエットを組み合わせたアプローチだ。


「MIND食の良いところは、食べるべきものを中心に構成されていることだ」と、論文の筆頭著者で、シンシナティ大学医学大学院准教授のラッセル・ソーヤーは言う。

「食べることが好きな人には、厳しい制限よりも、ナッツやベリー、豆類を加えてオリーブオイルのドレッシングをかけた濃い緑色の葉野菜のサラダを積極的に食べるほうが、はるかにうれしいだろう」

MIND食は全粒穀物、葉野菜、ベリー、豆、ナッツを重視し、その他の野菜、魚介、鶏肉、オリーブオイルも推奨する。ワインと赤身肉は量を控えめに。ファストフード、揚げ物、バター、マーガリン、ペストリー、甘い菓子類は避けるのが好ましい。

「推奨されている食品は抗酸化物質が豊富で、飽和脂肪やトランス脂肪の摂取につながる不健康な食べ物は制限されている」

ソーヤーと米神経学会の科学者チームは1万4145人(白人70%、黒人30%、平均年齢64歳)を対象に、MIND食の効果を約10年にわたり調査した。

その結果、よりMIND食に近い食事をしていた人々は、認知機能障害を発症するリスクが低かった。認知機能が低下した人も、MIND食に近い食事を続けた場合、機能が低下するペースが遅くなる傾向が見られた。この関連性は男性や白人より女性や黒人に顕著に現れた。


研究ではまず、参加者が報告した食生活のパターンを基にMIND食の遵守度を点数化し、3つのグループに分けた。12点満点で低グループは平均5点、中グループは7点、高グループは9点となった。また、認知能力の評価として、研究の開始時と終了時に思考力と記憶力を測定した。

身近な食材を味方に

その結果、低グループは10年間で12%の人が認知機能障害を発症したが、中グループは11%、高グループは10%だった。さらに、年齢、血圧、糖尿病、肥満、収入などを考慮して数値を調整すると、高グループの人は認知機能障害の発症リスクが低グループより4%低かった。

女性は、MIND食に近い人は認知機能障害のリスクが6%低かった。一方、男性にはリスクの顕著な違いは見られなかった。

「どんなダイエットや食事法も、万人に完璧に合うことはない。個人の好み、特定の食品へのアクセス、食事の準備に使える時間など、多くの要素が関係する」と、ソーヤーは言う。

「MINDダイエットはどこの店でも手に入りやすい食材を推奨している。より多くの情報を得て選択することが、脳にとって健康的な食事への第一歩になる」

【参考文献】
Sawyer, R.P., Blair, J., Shatz, R., Manly, J.J., & Judd, S.E. (2024). Association of Adherence to a MIND-Style Diet With the Risk of Cognitive Impairment and Decline in the REGARDS Cohort. Neurology, 103.

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