一人一人に成人の門出を祝う直筆の手紙を贈る映画監督の周防正行さん(演台左)=29日午前、長野県上田市の「無言館」(石毛紀行撮影)

長野県上田市にある戦没画学生慰霊美術館「無言館」で29日、全国から集まった18歳から24歳までの若者16人の門出を祝う成人式が開かれた。新緑に包まれた庭での式に参加した若者たちは「背筋が伸びる思いだった」と誓いを新たにしていた。

無言館は、先の大戦で亡くなった画学生の絵画などを収蔵し展示している美術館。絵を描くことに青春を注いだ画学生の作品とともに、決意を秘めた20歳前後の若者たちの門出を祝おうと、平成15年から毎年、著名な作家や科学者、俳優らをメインゲストに招き、成人式を開催している。

22回目の今年は、映画監督の周防正行さんがメインゲスト。新成人一人一人に「直筆の手紙」を贈った周防さんは「これから生きていく中で、何かに迷ったり絶望した時は、もう一度無言館を訪れて、いま参加している気持ちを思い出してほしい」と祝辞。

また、無言館館主の窪島誠一郎さんは、毎年この成人式で贈っている自作の詩「無言の詩(うた)」を朗読。画学生から受け取ったであろう真っ白なスケッチ帳を「愛する人たちへの感謝で埋めてほしい」と読んだ。

参加した、東京芸術大で美術を学ぶ岐阜県郡上市出身の高田清花(さやか)さんは「背筋が伸びる思いでした。高い志を受け継がねばと思いました」。同じく東京芸大で声楽を学ぶ、さいたま市出身の泉水里奈さん(23)は「画学生の彼らが過ごすはずだった時間に思いをはせながら勉強したい」と決意を新たにしていた。

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