ふるさとである秋田県大館市にUターンし、空き家問題の解消に向けて活動している男性を紹介します。
大館市役所のそばにある1軒のビル。このビルの3階に「NPO法人あき活ラボ」がオフィスを構えています。
「あき活ラボ」は、大館市内でも増えている空き家問題を解消しようと、空き家の所有者や空き家を活用したい人からの相談を受け付けています。
法人の代表を務めている三澤雄太さん(35)は、市内の高校を卒業し、進学のため北海道へ。その後、東京に本社を置くIT系の会社に入社し、Uターンするまで配属先だった長野県に住んでいました。
三澤さんは「いわゆるリノベーションってよく言うと思うんですけど、古い町並みの商店だった場所とかを移住者が新しくして店を始めてみるなど、そういうのが活発なエリアに住んでいたので、秋田に帰省すると、店は無くなっていくが空いたまま残っていて、店もどんどん減っていって人も減ってきているなと。長野で色々可能性を目の当たりにしてる中で、秋田でももう少しできるんじゃないかなという気持ちが少しずつ大きくなっていった」と当時を振り返ります。
秋田でも長野のようなことができるのでないかと考え始めていたころ、東京で開かれた大館市のイベントを訪れて地域おこし協力隊の募集を目にした三澤さんは、迷わず応募し、3カ月後にはふるさとの大館に帰ってきました。
その際、住まいは空き家を活用しようと考えていましたが、その情報の少なさに困惑したといいます。三澤さんは「空き家は多いけど、何で情報としてこんなに出てこないんだろうと疑問に思った。空き家というキーワードを掲げて取り組む事業者は意外といないなと思って、地域課題として取り組む組織を立ち上げて活動していこうかなというのがきっかけ」と話します。
総務省の最新の調査によりますと、秋田県内に空き家は6万9000戸あり、5年前の前回調査より8000戸増加し、過去最多となっています。
三澤さんが運営する「あき活ラボ」では、オフィスで個別に相談を受け付けているほか、定期的に県内各地で空き家に関する相談会を開いています。
「空き家を相続したがどうしたらいいか分からない」「解体する場合、どのくらい費用がかかるのか」など、訪れる人の相談内容はさまざまです。
「あき活ラボ」には、弁護士や司法書士、建設業者などが理事として所属していて、スタッフが相談者の要望や悩みに合わせて専門家を紹介し、問題の解決までサポートに当たります。
また、三澤さんは相談や紹介業務だけでなく、空き家を活用する事業にも力を入れたいと、空き家を使った民泊を始めました。
三澤さんは「取得した空き家にそのまま住めるかというと、すぐには住めないことが多い。どういうふうにこの家から暮らしをつくれるかなという想像力を膨らませることには難しさもある。秋田にこれから住みたい人にとって、よりイメージを膨らませられるように、空き家を活用したらこういう空間になりましたとか、こういう暮らしをしていますという情報発信をもっとしていかないといけないかなと思っている」と話し、今後の活動に意欲を見せています。
空き家を空き家のまま放置するのではなく、建物として新たに活用する方法を見つけて次の世代へ受け渡す。三澤さんはその橋渡し役として、これからも活動を続けます。
あき活ラボでは、無料で相談を受け付けていて、2025年2月には県内外を対象とした相談会を開催する予定です。
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