政府が11月に閣議決定した「補助金の縮小」で、ガソリン価格に本格的な値上げの波がやってきます。ガソリンスタンドからは「企業努力も限界」との声が上がっているほか、イチゴ農家にも影響が出ていました。

■「企業努力も限界…」ガソリンに値上げの波

名古屋市中区の「タカラ石油」では12月11日、レギュラーガソリン価格は先週より2円高いリッター161円でした。

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タカラ石油の平野由次店長:
うちの方針として、お値打ちな値段でやらせていただいています。企業努力で何とかやっていますけど限界まできていますので、これ以上上がるのはあまり好ましくないなと。

11日に発表された最新の調査では、全国平均でリッター175.7円です。少しでも安いガソリンを求める人で、正午前には車の列ができていました。

利用客からは「だんだん高くなってきますよね」「ダメージ大です。ちょっとでも毎月の出費を抑えたいので、苦しんでいるところなので、1円でも月々の出費を安く」などと、嘆きの声が聞かれました。

ガソリン価格に、本格的な値上げの波がやってきます。背景にあるのは、政府が11月に閣議決定した「補助金の縮小」です。現在は原油価格がリッター200円の場合、185円を上回る価格への全額補助はそのままになっています。

しかし12月19日からは、168円から185円の補助が5.1円に縮小します。価格に反映された場合、消費者の負担は5円程度上がる見込みです。1月16日以降はさらに補助率が下がるため、10円程度値上がりする可能性があります。

タカラ石油の平野由次店長:
ある程度補助をしてもらわないと、ガソリンスタンドはアップアップですので。来年の3月までは補助金が出るという話は聞いていますけど、それ以降も補助金を出していただかないと、ガソリンスタンドはだいぶ苦しい状態になる。

■クリスマスケーキに欠かせない「イチゴ」にダブルパンチ

およそ1万7千株のイチゴを栽培する、愛知県知立市のいちご農家「苺香(いちか)」では、2024年は秋に暑さが残り、苗を植える時期が遅れたため、例年なら収穫が始まる今の時期になっても、ほとんどイチゴは実っていません。

さらに追い打ちをかけるのが重油の値上げです。ガソリン同様、重油価格の補助も縮小となるためです。

いちご狩り農園・苺香の近藤喜代治さん:
暖房を止めることはできないので。今からたくさん使うようになりますよね。(値段が)下がってもらえれば、温度の調整もケチらずにできるようになりますので。

イチゴは、生育に暖かい環境が必要とされています。重油を使った暖房機で、ハウスの中を最低でも10℃に保つ必要があり、この農家では1年で7000Lほどを使っているといいます。

需要のピークに重なるピンチに、農家も工夫をしていました。

いちご狩り農園・苺香の近藤喜代治さん:
補助金がなくなると聞いていますので、上がる前に入れたいというのもあって、注文を早めにしたところです。

本格的な値上げを前に、タンクに1000Lの重油を補充。

シートを二重にして保温効果を高めるほか、電気で動く暖房機と使い分けるなどして燃料を節約しています。

いちご狩り農園・苺香の近藤喜代治さん:
生産コストが上がる部分につきましては、販売価格に反映させていかないと、経営自体が継続していけないので。人件費も買う資材も、全てのものが値上がりしておりますので、現状の価格では難しいかと思います。

(東海テレビ)

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