県外最終処分に向けた議論は進むのか。除染で出た土をめぐって1回目の閣僚会議が開かれ、最終処分や再生利用の基本方針を春ごろまでに取りまとめる計画が示された。
林官房長官:「各府省庁が一丸となって、再生利用の様々な案件を創出するべく取り組みを進めていただくようお願いいたします」
12月20日官邸で開かれた1回目の閣僚会議。
原発事故後に除染で発生した土などの再生利用と最終処分について、2025年春ごろまでに基本方針を夏ごろまでにロードマップを取りまとめる方針を共有した。
「中間貯蔵施設を双葉郡の中に作らせていただけないか」
震災と原発事故が発生した2011年、政府は、除染で出た大量の土を一時的に運び込む場所として「中間貯蔵施設」の設置を要望。
2015年3月。ここから30年以内、2045年3月までの「福島県外での最終処分」が法律で定められ、福島県の大熊町と双葉町に整備された施設へ除染土の運び込みが始まった。
2024年11月末の時点で約1400万立方メートルが保管され、道路や農地で使用する実証試験が行われているが、県外での協力は得られておらず、肝心の最終的な受け入れ先も決まっていない。
閣僚会議にあわせて環境省は、2024年度中に除染で出た土の再生利用や最終処分をする基準、最終処分場の構造などをまとめた戦略を策定する方針で、対応の加速化が期待される。
<土地を提供した地権者の思い>
一方、中間貯蔵施設に土地を提供した住民は…。
松永秀篤さんは「正直な話、みんなでやったからってどうにかなるのかなって、今まで5年間も放っておいて何やってるんだっていうのは正直な話だけどね」と話す。
福島県大熊町の松永秀篤さんは「2045年までに県外で最終処分をする」という国との約束を信じ、震災前に生活していた熊川地区の土地を国に売り渡した。
「除染したからいいんじゃなくて、俺らが言っている元に戻してほしいっていうのは、隣近所の付き合い、そういうのをちゃんとできるような状態に戻してほしいっていうのが本音かな」と語る。
いつまでも褪せることのない故郷への愛着。復興を前に進めるために苦渋の決断をした住民たちの思いを汲み取り、早期に道筋をつけることを望んでいる。
「徹底的に揉んで、いい方向に進んでいってほしいなって。前倒しにできるような政策だったらいいのかなって思いますけどね」松永さんはそう話した。
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