自分の置かれている環境に違和感を持ったりすることから、「生きづらさ」を抱えているグレーゾーン。

大人になってから気づくことも多く、職場に適応できない「適応障害」を併発し、抑うつ状態になっていることも多いという。

ストレスマネジメント専門家の舟木彩乃さんの著書『発達障害グレーゾーンの部下たち』(SB新書)から、ルーティンワークから営業部門へ異動になった30代女性の事例をもとに、グレーゾーンの特徴について一部抜粋・再編集して紹介する。

「生きづらさ」が特徴

発達障害と定型発達の中間にある「グレーゾーン」は、発達障害の特性が明確に出ているわけではなく、環境などの要因によって特性が強くなったり弱くなったりしている状態です。

自分が発達障害かもしれないと疑っている人が医療機関の受診を決心するのは、発達障害と診断されたら、治療を受けたり障害者手帳を取得したりできると考えるからです。

抱える違和感がストレスになっていく…(画像:イメージ)
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これまで、グレーゾーンにまつわるエピソードをいくつか紹介してきましたが、グレーゾーンの最も分かりやすい特徴は「生きづらさ」です。生きづらさとは、自分が置かれている環境に違和感を持ち、さらにその違和感がストレスになっている状態です。

もちろん、すでに発達障害の診断名がついている人も、環境に対する違和感がストレスになっているケースが多くあります。

しかし、彼らの場合は幼少期から発達障害と診断され、自分自身の特性がよく分かっていることが多いため、大人になって初めて「生きづらさ」を感じるわけではありません。

適応障害の併発も

職場内でグレーゾーンが疑われる人の相談に乗っていると、彼らの多くは「適応障害」を併発しているようです。

適応障害は、職場環境の急激な変化や人間関係のトラブルなど、本人が思い当たる出来事をきっかけに発症する疾患です。

米国精神医学会作成の『DSM─5 精神疾患の分類と診断の手引』では、適応障害は、はっきりと確認できるストレス要因から3か月以内に情緒面または行動面の症状が出現するものとされています。

適応障害の特徴の1つに、「抑うつ状態」(気分が落ち込んで、生きるエネルギーが乏しくなっているような状態)があります。

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