バスケットボールを通して女性の社会進出を目指す泉山裕子さん=青森県八戸市(福田徳行撮影)

青森県八戸市を拠点にした社会人の女子バスケットボールチーム「SWEETY」(スウィーティー)を運営する一般社団法人の理事長に就任した泉山裕子さん(43)。今夏のパリ五輪でバスケットボールが男女とも出場権を獲得するなど、かつてないほど人気が高まる中、泉山さんは県内初となる女子東日本地域リーグへの参入を目指すとともに、女性の社会進出の象徴になることをチームのビジョンに掲げ、東奔西走している。


3つの活動方針

チームは昨年5月に発足し、法人を立ち上げたのが10月です。私自身、子供が生まれて、女性がスポーツを通して活躍する姿を子供たちに見せることで、大人になっても高いレベルで競技を続けられるということを感じてほしいという気持ちで理事長をお受けしました。微力ですが、子供たちの世代に何かポジティブなものを残したいと思い、頑張っています。

チーム名にはすてきな人、親しい人という意味があります。選手には地元の方、地域の方たちから親しまれ、子供たちが憧れる存在になってほしいという気持ちを込めました。

チームの活動方針は3つあって、1つは地域での女性の社会進出のシンボルとなるような強いチームをつくり地域リーグ、そして最高峰のWリーグを目指していきます。2つ目は青少年の育成です。アカデミーやバスケのスクールなどを通して日本を代表するような選手を育成したいですね。3つ目は指導者の輩出です。うちの選手たちがバスケを勉強して引退後もクラブチームだったり、学校に行ったりして子供たちに教えられる指導者を輩出することを目指しています。

企業と連携して練習

選手は全員20代で、働きながらバスケをしていますので企業と連携し練習、試合に臨む環境をつくっていくことが重要だと考えています。そのために、選手の就職先でも各企業とお話しさせていただいて「うちはこういう人が欲しい」という企業のニーズに合った人材を紹介したいと思いますし、オファーもいただいています。本人の希望もありますし、企業にとっても求める人材や雇用形態はそれぞれ違うので、うまくマッチングできるように取り組んでいます。

その意味で言うと、企業に人材を紹介して働きながらバスケをしているチームなので選手をリクルートする時には人間性、協調性、社会性を見させてもらっていますね。みんな前向きで仲良く、笑顔で良い子たちばかりで、逆に私の方が元気をもらったり、勉強させてもらっています。

県内の高校や大学でもかなり高いレベルでやっているチームがあるので、そういうところと練習だったり試合をやっていけたらと思っていますし、県外の社会人チームと一緒に練習試合ができたらと考えています。

目標とされるチーム

法人が設立されてまだ半年ですが、チームをPRするためにSNS(交流サイト)で試合などの情報発信をしていますし、選手を紹介するホームページも作りたいと思っています。あとは、なるべくイベントに参加して地域の方々と触れ合うことで地元で愛されるチームにしたいですね。

性別や住む地域に関わらず、地方で子供たちが高いレベルでスポーツを続けられる環境を作ることによって少しでも人口流出に歯止めがかかれば良いと思います。そのためにも県内の学校や福祉施設を訪問させていただいてバスケ教室を開くことも考えています。

チームのビジョン、理念はバスケを通してロールモデル(模範となる人)になることと子供たちに夢を与えることにあります。選手たちがひたむきにバスケに打ち込み、活躍する姿を見せることによって子供たちがポジティブな気持ちになって「自分も活躍できるんだ」ということを感じてもらえれば最高ですね。

先ほども言いましたが、地域リーグ、Wリーグに参入し、日本代表に選ばれる選手を輩出することが最終目標ですが、みんなが「素敵なお姉さんたちがバスケをしているな」と思って目標にしてくれるようなチームでありたいですね。

(聞き手 福田徳行)

いずみやま・ゆうこ 昭和55年、奈良県三宅町出身。東京都内の大学を卒業後、広告の企画・制作会社、広告代理店勤務を経て結婚を機に八戸市に居住。2児の母。現在、選手は13人で、週3回(月・水・金)八戸学院大を拠点に午後7時半から練習している。

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