2月にあった早稲田大(東京都新宿区)の一般入試で、東京都内の私立高校に通っていた受験生の男性(18)が、試験問題を眼鏡型の電子機器「スマートグラス」で撮影し、SNS(ネット交流サービス)を通じて外部に流出させていたことが捜査関係者への取材で判明した。警視庁は近く、男性を偽計業務妨害容疑で書類送検する方針。
捜査関係者によると、男性は2月16日、早大創造理工学部の試験中に、カメラと通信機能の付いたスマートグラスを使って化学など複数の科目の問題用紙を撮影。画像を無線通信で、手元のスマートフォンに転送し、X(ツイッター)で外部に送信して流出させ、大学の業務を妨害した疑いがある。
男性はXで連絡を取り合っていた複数の人物に画像を送信して、回答するように求めていた。そのうちの1人が回答後に不正に気づき、早大に情報提供し、試験問題の流出が発覚した。大学側が調べたところ、男性の関与が浮上。2月21日に男性が早大の別学部の入試に訪れた際、眼鏡に小型カメラが付いているのに職員が気づき、警視庁戸塚署に通報した。
男性は警視庁の任意聴取に「大学入学共通テストの結果が悪く、志望していた国立大学に落ち、他の大学も落ちることが不安で不正を思いついた」などと供述しているという。創造理工学部の入試では、流出させた画像を元に回答を返信してもらい、問題に答えたと説明。両学部とも合格していないという。
捜査関係者によると、画像の流出先の人物らについては不正の認識が無かったとみられる。
大学入試のカンニングを巡っては、2022年1月の共通テストで、スマホで問題を撮影して外部に流出させたとして、受験生の女子大学生が偽計業務妨害容疑で書類送検された。また同じ月の一橋大(東京都国立市)の外国人留学生向けの入学試験でも、問題文の画像を外部に流出させ入試業務を妨害した疑いで、中国籍の男性が逮捕されていた。【菅健吾、加藤昌平】
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