文化審議会は17日、「こんぴらさん」の愛称で親しまれている金刀比羅宮(香川県琴平町)の社殿群や、東京拘置所内にある旧小菅刑務所庁舎(東京・葛飾)など8件の建造物を重要文化財に指定するよう文部科学相に答申した。答申通り指定される見通しで、建造物の重要文化財は2582件(うち国宝231件)となる。
金刀比羅宮は、境内の本宮や別宮などの12棟が対象。1868年の神仏分離令を受けて仏教色をなくし、神社として改編した様相を伝え、歴史的な価値が高いと判断した。
旧小菅刑務所庁舎は1929年に完成。鉄筋コンクリート造りの建物が水平に広がり、中央には塔が立つ。翼を広げた鳥を想起させる独創的な外観が特徴だ。
他の6件は、唯一現存する木造信号塔の旧大浜埼通航潮流信号所施設(広島県尾道市)や、洋風のデザインや技法を大工が見よう見まねで取り入れた「擬洋風」住宅として残る最古級の郭家住宅(和歌山市)など。
答申は、国宝の法隆寺金堂(奈良県斑鳩町)で、修理の際に再使用できず、境内に保管されている建立当時などの古材も国宝に追加するよう求めた。米国の建築家フランク・ロイド・ライト設計の旧山邑家住宅(兵庫県芦屋市)の土地など重要文化財の追加指定2件も盛り込んだ。
また重要伝統的建造物群保存地区に、新潟県佐渡市の小木町など2地区の選定を求めた。保存地区は129となる。〔共同〕
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