閉店を公表した「亀の湯」の浴場=神奈川県公衆浴場業生活衛生同業組合ホームページより

 半世紀以上、地元で愛されてきた神奈川県座間市の老舗銭湯「亀の湯」が5月30日での閉店を公表した。主な理由は利用客による迷惑行為で、店主はX(ツイッター)に「もう限界です」と投稿している。

 1967年創業、市内唯一の銭湯で、小田急相模原駅から徒歩約15分の住宅街にある。井戸水を毎日まきで沸かす湯は、体を芯から温め、寒い季節も湯冷めしにくいと評判だ。貸し切り風呂や、毎年冬至の日に「ゆず湯」を開くなどして、地元で親しまれてきた。

 だが、ここ数年、利用客による迷惑行為に悩まされてきたという。備品の盗難や破壊のほか、理不尽な言動などのカスタマーハラスメント(カスハラ)▽駐車場のルール違反▽サウナ代を支払わない無断利用――などに加え、ゴミや家具の不法投棄もあった。

 注意しても迷惑行為は続いたといい、店主は16日、「悲しい出来事があまりにも多く、営業を続ける意欲がなくなった」と投稿した。毎日新聞の取材に対し「お客さんの特定につながってしまうので、詳細な説明は避けたい」などとした。

亀の湯がXに投稿した閉店のお知らせ=Xより

 閉店の公表を受け、Xには「迷惑行為で閉店に追い込まれるなんて悲しい」「金払っているからって勘違いしている人が多すぎる。サービス業の方たちは本当に大変だと思う」などのコメントが寄せられている。

 店主による「閉店のお知らせ」は、常連客らへの感謝の言葉とともにこうつづられている。

 「これから先も他の公衆浴場や入浴施設を利用される方が多いと思います。どうか、誠意あるお客様でいてください。お願いします」

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 厚生労働省が17日に公表した職場でのハラスメントに関する実態調査では、27・9%の企業が過去3年間に従業員からカスハラの相談を受けていた。相談件数の推移でパワハラやセクハラは減少の兆しがあったが、カスハラは「増加」が「減少」を上回った。【近藤綾加】

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