福山ばら祭会場で販売された「薔薇とピーチもみじ」=福山市花園町2で2024年5月18日午後0時31分、藤田宰司撮影

 和菓子メーカー「にしき堂」(広島市東区)は新製品のもみじまんじゅう「福山限定薔薇(ばら)とピーチもみじ」を発売した。福山市のまちづくりのシンボル「ばら」にちなみ、約2年かけて開発。バラの香りとみずみずしい桃の果肉を生かし、大人のイメージのお菓子に仕上げた。

 「福山市内に店を出して50年目。福山らしいお菓子を作ってほしいという期待に応えられる製品がようやくできた。応援していただいた皆さんに恩返しできるのではないか」と大谷博国社長。

 にしき堂は1975年の山陽新幹線全線開通に合わせ、福山駅構内に直営店を出店。87年に福山工場が稼働し、現在は市内で3店舗を営業している。福山らしいお菓子の開発はこれまで何度も試みてきたが商品化に至らなかったという。

 新製品は、新型コロナ禍に見舞われたさなか、若手技術者からバラを前面に打ち出した新たな提案があり、2022年5月に開発が始まった。

にしき堂のもみじまんじゅうの新製品「薔薇とピーチもみじ」=福山市役所で2024年5月17日午後1時52分、藤田宰司撮影

 最初の難題は、個性が強いバラの香り。花びらから抽出したエキスと水あめなどを混ぜたペーストや香料を使って生地に香りをつけることにしたが、分量が多いと香りが強すぎる。何度も焼き直してほのかに感じる配合と分量を探った。

 白あんに加える食材は比較的すんなり決まった。ベリー系の果実の試作も悪くはなかったが、バラ科の桃と組み合わせると味、香りとも親和性が絶妙。白あんと桃ピューレを混ぜ、ごろっとした桃の果肉を加え、約40回の試作を経てフルーティーな甘みと食感、ほのかな香りをバランス良く仕上げた。

 販売は「地元で知ってもらい味わってもらいたい」と福山の直営店とJR福山駅や山陽自動車道福山サービスエリアなど市内8カ所に限定。1個150円、5個入り1箱800円で年間10万個の販売を目指す。

 発売初日の18日、「福山ばら祭2024」の会場でアピールすると、来場者が次々と買い求めていた。

 大谷社長は「新たな福山のお土産として受け入れていただき、来年開催される世界バラ会議福山大会2025を盛り上げることにも貢献したい」と話した。【藤田宰司】

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