秋田県鹿角市十和田大湯で遭難者捜索中の男性警察官2人がクマに襲われ負傷したことを受け、秋田県は21日、現場周辺地域を入山禁止にした措置の周知を青森、岩手、宮城、山形各県に要請した。この地域は他県からタケノコ採りに来る人も多いことから、注意喚起を県外にも広げた。
秋田県によると、入山の禁止を呼びかけている地域は、十和田湖の秋田県側に近い小坂町樹海ライン(県道2号)沿いと、鹿角市の十和田大平地区、十和田高原地区、八幡平地区、仙北市の玉川地区の計5カ所。「人が集めた山菜を奪うなど、危険性が高いクマによる人身被害が発生している」とし、やぶの近くや沢、見通しの悪い山地では歩く際は鈴やラジオなどで音を出し、人の存在をアピールし続けてクマとの鉢合わせを避けてほしいとしている。
鹿角署によると、警察官2人がクマに襲われたのは18日午後1時ごろ。この3日前に妻ら計3人でタケノコ採りに来て遭難した青森県三戸町の無職の60代男性の捜索中で、20代の男性警察官が顔、40代男性警察官が両腕などを負傷した。
現場周辺では男性の遺体が見つかったが、斜面になっていて車で安全に近づけないため、21日朝から現場に近い林道の道幅を広げる工事が始まった。工事にかかる日数は未定だという。
秋田県は同日、緊急の対策会議を開き、担当者は今回の襲撃現場のクマについて、人が持っている食べ物を奪うか、人を食べ物と認識して襲う形の最も危険度が高い「積極的な攻撃」だった可能性があるとの見方を示した。
県によると、こうした攻撃は2020~22年の人身事故(計24件、うち20件が防衛目的)のうち1件。県の担当者は「人と食べ物を結びつける学習をした特定のクマ」だとして、今回の措置について「音などでのアピールだけでは事故を防げないクマで、そのような個体がいる場所なので入山禁止にした」と話した。
また、今年の目撃件数については4月もこれまでを大きく上回っているなどとして、集落に生ゴミやコンポストを置かない▽やぶを刈り、車庫や倉庫の扉は閉める▽音を立てて鉢合わせを避ける▽見かけたら市町村や警察に通報する――ことを呼びかけた。【工藤哲】
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