袴田事件の再審で論告求刑のため静岡地裁に入る袴田巌さんの姉・秀子さん(中央)と、弁護団事務局長の小川秀世弁護士(右から2人目)ら=静岡市葵区で2024年5月22日午前10時24分、手塚耕一郎撮影

 1966年6月に静岡県清水市(現静岡市)でみそ製造会社専務一家4人を殺害したとして、強盗殺人などの罪で死刑が確定した袴田巌さん(88)のやり直しの裁判(再審)が22日、静岡地裁で開かれ、検察側は「事実を精査し、真実を明らかにしてほしい」とする、事件で殺害された遺族の意見陳述書面を読み上げた。

 意見陳述した遺族は、事件で殺害された専務の孫という。検察側は公判で、専務の孫が「尊い4人の命が奪われた。被害者がいることを忘れないでほしい」と述べたと明らかにした。

 弁護側は遺族の意見陳述について、「再審公判は再審請求審で『無罪を言い渡すべき明らかな新証拠』が認められた上で開かれており、ふさわしくない」と主張。静岡地裁と静岡地検に中止を求める意見書を提出していた。

 公判は22日に結審する予定で、検察側が死刑を求刑する展開が見込まれる。弁護側は改めて袴田さんの無罪を主張するとみられる。【巽賢司】

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