小林製薬が製造した紅麹(こうじ)原料を含む機能性表示食品の問題を受け、消費者庁の専門家検討会は23日、制度見直しの提言案を取りまとめた。健康被害の報告が迅速に集まるようにルールを明確化。生産・品質管理にも一定の基準を設け、実質的に製造企業へ順守を義務付ける。

消費者庁は提言を踏まえ、5月末までに内閣府令改正に向けた対応策をまとめる。

同庁は同日、機能性表示食品を製造する約1700事業者を対象にした調査で、小林製薬のほかにも計77件の健康被害の報告があったとも明らかにした。専門家による評価によるとうち21件は健康被害と製品の因果関係が「否定できない」と判断された。

機能性表示食品は2015年に導入された。科学的根拠や安全性に関する情報を企業が届け出れば、審査を経ずに販売できる。中小企業の参入を増やし、食品産業を活性化させる狙いがあった。

今回の提言案は健康被害の報告▽生産管理の厳格化▽消費者への情報伝達――の3つの柱について、製造企業の順守事項を設けるとした。守らなければ機能性表示食品として表示しないよう指示や命令を出せる規定をつくることを求めた。

健康被害については、医師が製品に起因する疑いを否定できない場合は症状の重篤度を問わず全て報告させる。消費者庁が医師や薬剤師などから幅広く健康被害の情報を収集する仕組みも必要だとした。

現行制度では健康被害が「発生及び拡大の恐れがある」と企業側が判断した場合のみ、速やかに消費者庁に報告する規定になっている。

生産・品質管理の厳格化も盛り込んだ。サプリメント形状の製品に対しては医薬品で義務付けられている製造時の管理基準(GMP)などを参考に一定の基準を設け、順守状況の監視体制を設ける。企業が自主点検で確認するポイントも消費者庁が提示すべきとした。

機能性表示食品を巡っては、国が安全性を審査する「特定保健用食品」(トクホ)との違いが消費者に十分伝わっていないとの指摘もある。提言案はトクホとの違いや医薬品との飲み合わせなどに関する情報を製品パッケージに記載すべきだとした。

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