高齢者講習などに特化した全国初の専門施設「岩槻高齢者講習センター」=さいたま市岩槻区で2024年5月27日、田原拓郎撮影

 高齢者が運転免許更新時に必要な検査や講習を受けることができる埼玉県警の専用施設「岩槻高齢者講習センター」(さいたま市岩槻区)が27日、開所した。右肩上がりに増え続ける高齢運転者に対応し、長期化していた講習までの待ち日数を短縮することが狙い。高齢者専用の講習施設は全国初という。

 免許更新時、70歳以上は実車での運転指導などがある「高齢者講習」、75歳以上は認知症の恐れがないかを判定する「認知機能検査」を受ける必要がある。

 県警免許課によると、県内の70歳以上の免許保有者は2023年で71万8958人。14年の48万3870人から10年間で約49%増えた。講習は免許有効期限の6カ月前から受講可能で、従来は教習所や運転免許センターで受け付けてきた。しかし、教習所の受け入れ枠が限られており、混雑がピークに達した17年には申し込みから認知機能検査を受けるまでに平均102日間、高齢者講習までに平均72日間待つ必要があった。

高齢者講習などに使われるコースと車両=さいたま市岩槻区の岩槻高齢者講習センターで2024年5月27日午前10時39分、田原拓郎撮影

 その後、受け入れ態勢の整備や、自動で受講日時を指定するシステムの導入で今年4月時点では約30日に短縮された。だが、今後も高齢の免許保有者の増加が見込まれるため、専門施設を整備することにしたという。

 同センターは、敷地面積4万3000平方メートル。鉄筋コンクリート2階建ての施設内に講習室(20室)や認知機能検査室(4室)を備え、実車での教習用コースも設けた。高齢者講習を年間最大3万2000人、認知機能検査を4万3000人受け入れる計画で、病気などで運転に不安を抱える高齢者や家族の相談も受け付ける。

 この日、認知機能検査を受けに来たさいたま市岩槻区の相川千代さん(80)は「4月から検査日を変更したが、新施設に空きがありスムーズに検査できた」と話した。【田原拓郎】

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