国宝・姫路城の南東にある播磨国(はりまのくに)総社(そうしゃ)(兵庫県姫路市総社本町)鳥居前の発掘調査で、江戸時代に中堀に架かっていた木橋の橋台(橋が陸に接地する部分の土台)跡が見つかった。市埋蔵文化財センターが発表した。姫路城の三重の堀には七つの木橋が架かっていたことが分かっているが、橋台跡が確認されたのは初めて。
木橋は長さ約17メートル(推定)で、神社の祭礼時のみに開く「鳥居先門(とりいさきもん)」を通るために使われたとみられる。付近の中堀は昭和初期までに埋め立てられ、現在は東西方向の国道2号になっている。
発掘調査は2024年1~3月、国道2号と市道の丁字路(同市元塩町)付近の市道整備工事に伴って実施された。道路面から約50センチ掘り下げたところ、幅6・8メートル、長さ最大5・1メートルの範囲で、上から見ると「コ」の字型に組まれた石垣が見つかった。石材は50~90センチ角ほどの凝灰岩の割石で、木製の部材を差し込むほぞ穴など加工の跡があった。形状や場所から木橋の橋台と確認された。
江戸時代の絵図や明治末期~昭和初期の古写真には鳥居先門や木橋の姿が残されている。鳥居は現在も同じ場所にある。
同センターは「姫路の市街地の下には今も遺構が良好に残っていることが確認できた」としている。
遺構は保存処理をして既に埋め戻された。4日から同センター1階ホール(同市四郷町坂元)で調査結果のパネル展示が開かれ、市の公式ユーチューブで解説動画が公開される。いずれも無料。【村元展也】
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