30日夜、酒田市で建物の壁が焼ける火事があり、警察は放火の疑いで酒田市・消防団員の27歳の男を逮捕した。警察は、市内で6件相次いだ不審火との関連についても慎重に調べている。

非現住建造物等放火の疑いで逮捕されたのは、酒田市北新町の会社員・田賀一稀容疑者(27)。

田賀容疑者は、30日午後6時ごろから午後7時ごろまでの間に、酒田市南新町の「酒田市公園会館」にライターなどを使って火をつけた疑いがもたれている。
火は、約40分後に消し止められたが、建物の壁の一部が焼けた。公園会館は4月から休館中で人はおらず、けがをした人はいなかった。
警察の調べに対し、田賀容疑者は容疑を認めているという。

田賀容疑者は、酒田市消防団・第一分団の副分団長を務めていた。
逮捕を受け、31日午後、酒田市消防団が会見を開いた。

(酒田市消防団・鈴木昭団長)
「まさか消防団員がそういった事件を起こしているとは想像もしていませんでした」

田賀容疑者は、7年前の2017年4月に消防団に入団し、現在は複数の団員を束ねる副分団長を任されている。
田賀容疑者が所属する分団のトップにあたる、第一分団長は…。

(酒田市消防団 第一分団・伊藤千秋分団長)
「訓練などにもしっかり参加する今の若者としてはなかなかしっかりした青年だなと思っていた。前の副分団長の推薦もあり副分団長に今年からなった。大変期待していた」

酒田市の中心部では、4月以降、不審火が6件相次いで発生した。
最初は4月28日午前11時、酒田市日吉町の飲食店の車庫から火が出た。

5月5日の深夜には、酒田市寿町の会社事務所から火が出て、約200平方メートルの事務所が全焼した。
この日、会社は休日で、出火当時、事務所には誰もいなかった。

5月10日の深夜には、酒田市北新町の住宅から火の手が上がり、木造モルタル一部2階建ての住宅の外壁と物置が焼けた。
この家に住む女性は施設に入所していて、出火当時は空き家だった。

捜査関係者への取材で、6件の不審火のうち、複数の現場では「油とみられる成分」が検出されていたことがわかっている。
これら6件の火事でけがをした人はいなかった。

一連の不審火のうち4件は、田賀容疑者の自宅から半径1キロの圏内に集中している。
田賀容疑者は、今年4月に副分団長になったが、不審火はその直後から相次いで発生。
田賀容疑者は、これらの不審火のほとんどの現場で消火活動に参加していた。

(酒田市消防団 第一分団・伊藤千秋分団長)
「6カ所のうち2つ目以外ほぼ出動していた。私も出ていますので。私から見て容疑者に不審な動きなどは見られなかった。ほかの団員に聞いても同じ答えが返ってくると思う。『不審火が早く収まればいい』と田賀容疑者などと話していた」

消防団員が放火の疑いで逮捕されたことについて、田賀容疑者を知る近所の人は…。

(近所の人)
「すごくいい子だよ。そんな悪いことするような子ではない。普段から会えば挨拶するし。雪が降れば家の前を除雪したり、隣の家までも除雪してくれたり。すごく感心していた」

(近所の人)
「まさかすぐそばの人間が、こうなるとは信じられない。(Q.連続不審火については?)やはり不安だったので、我々も夜遅くまで起きて午前1~2時まで電気つけていた」

警察は、今回の犯行前から田賀容疑者がこれらの不審火に関与している可能性があるとみて、調べを進めていたという。

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