山口県宇部市立の全36小中学校が、児童生徒の意見を聞き入れる形で校則の見直しに取り組んだ。校則を改定する権限は学校長にあるが、同市教育委員会は、児童生徒が「社会の問題について自ら考え、判断する」という主権者教育の一環として、校則の見直しに取り組むよう各学校長に提案。市教委が策定した「校則見直しに関するガイドライン」に沿って、全校で見直しが進んだ。【近藤聡司】
市教委によると、学校現場では校則を改定するための具体的な手続きが示されていないこともあり、多くの校則が旧態依然のままだったという。そのため、市教委は2023年7月に策定したガイドラインで、服装や髪形について男女別に定めた規定を無くし、ジェンダーレスを尊重する時代に合った校則に改めることなどを求めた。
また、校則見直しの手続きについては、児童生徒の意見を学校側に伝えられる仕組みとして、生徒らや教職員、保護者でつくる「校則見直し委員会」を設置するよう促した。各校は委員会を設置し、生徒らが見直しを求めた校則案について適当かどうかを協議。ここでまとまった見直し案を生徒らが校長に提案した。委員会には校長も参加しており、提案が尊重される形で校則が見直されたという。
児童生徒の意見が反映された結果、小学校では「持ち込める筆箱は箱形のみ」としていたのを「箱形以外も使って良い」、「シャープペンシルは使用禁止」としていたのを「高学年に限り使用できる」などと校則を改める例があった。中学校では「靴下や靴、シャツは白のみ」としていたのを「白、黒、紺などの華美でない色」に変更した例があった。
市教委によると、全校一斉に校則を見直す取り組みは、県内では初めてという。市教委は「子供たちが校則を『自分ごと』と考え、さまざまな立場の人たちとの対話を通し、自らの力で変えていく経験ができた」と取り組みの意義を強調。今後も各校で毎年、校則について児童生徒が主体となって協議する仕組みを作るとしている。
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。