水俣病や大気汚染などの公害被害者団体で作る「全国公害被害者総行動実行委員会」は5日、環境省で伊藤信太郎環境相と面会し、5月の水俣病患者・被害者団体との懇談の場で同省職員が団体側のマイク音声を切ったことに抗議した。
発言の遮断について、実行委の江添良作代表委員は「環境行政の根幹に関わる問題で看過できない」と非難。また、懇談の場に出席していた水俣病不知火患者会の岩崎明男会長は「あのようにぞんざいに扱われたのは初めて。今回の事態は環境省がどのような姿勢で被害者と向き合ってきたのかを図らずもあぶり出した」とし、被害者救済に向けた方針をただした。
これに対し、伊藤氏は「被害者の声をしっかりお聞きする意識が十分でなかった」と述べ、幹部職員とともに謝罪した。ただし「今の段階で具体的な新しい解決方法があるというわけではない」とし、改めて新たな救済策の導入などには否定的な考えを示した。
実行委は公害の根絶などを求めて毎年6月に環境相と面会しており、今年で49回目。今回は被害者救済などを求める約2万5000人の署名を伊藤氏に手渡した。【山口智】
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