警察の内部資料を漏えいした疑いで逮捕された鹿児島県警の前生活安全部長が、県警トップであるキャリア警察官の本部長が不祥事を隠蔽したなどと警察組織の不正を訴えた問題で、警察庁の露木康浩長官は6日の会見で、逮捕された前生活安全部長について「警察職員の模範となるべき立場にあったものが、逮捕されたということは極めて遺憾」と述べ、隠蔽疑惑については、「捜査のなかで必要な確認が行われていくものと考えております」と述べた。

この問題は、鹿児島県警の前の生活安全部長である本田尚志容疑者(60)が、警察情報を第三者に漏らした疑いで、5月31日に逮捕されたが、「自身が流出させた情報は、現職警察官の不祥事をまとめた資料だった」と明らかにし、「鹿児島県警の野川明輝本部長がその隠蔽を図った」と訴えているもの。

露木長官は逮捕について、「鹿児島県警察の前生活安全部長が、県警の他の部長の氏名住所電話番号などを問い合わせ先などと記載した上で、公表を望んでいないストーカー規制法違反事件の被害女性の実名などを第三者に漏らしたという国家公務員法違反事件」と説明。前生活安全部長が「本部長が隠蔽した」などと主張している2つの事件については、「二つの事案につきましては、鹿児島県警において被疑者を逮捕するなど、いずれも必要な対応が取られていたと報告を受けています」と述べた。

その上で、「被疑者の主張は、本件捜査のなかで必要な確認が行われていくものと考えております」と話した。

また鹿児島県警で警察官が逮捕される不祥事が頻発している事については、「警察庁としても重く受けとめています」として、鹿児島県警の捜査・調査の結果を踏まえて、今後必要な監察を実施するとしている。

一方、鹿児島県警の野川本部長は、6日朝も記者の質問に無言を貫き、説明しなかった。

本田容疑者は、鹿児島県警の警察官の不祥事についてまとめた文書を記者に送った疑いで逮捕されたが、その理由について「本部長が警察官による不祥事を隠蔽しようとする姿にがく然とし、また、失望しました。県民の皆様に申し訳が立たないと思いました。私は、いち警察官として、目の前に犯罪があり、容疑者も分かっているのに、その事実を黙殺しようとする姿勢が理解できず、心底腹が立ちました。県民の皆様の安全より、自己保身を図る組織に絶望しました。」と説明している。

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