アイスコーヒー

 「レイコー」は死語になるのか――。関西でアイスコーヒーを指す俗語として、かつてテレビのバラエティー番組でもネタにされたレイコー。4~5月にUCC上島珈琲(神戸市)が実施した調査で、現在は関西でもほとんど使われていない実態が浮かび上がった。

 レイコーだけではなく「冷(れい)コー」や「レイコ」も、すべて「冷たいコーヒー」を意味している。関東圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)と関西圏(大阪府、京都府、兵庫県)に分けた調査で、こうした呼び方をする文化の存在を知っているのは関西圏では80・3%と高く、関東圏でも63・3%に達した。

 ところが、最も頻繁に使っているアイスコーヒーの呼び方が「レイコー」だと回答した人は、関西では60代こそ10・0%あったものの、50代は6・7%、40代は5・0%、30代は1・7%に。20代に至ってはゼロだった。関東はすべての世代でゼロだった。

 両地域の中間では、どうなっているのか。毎日新聞が静岡県掛川市のコーヒー販売店「掛川一風堂」に確認したところ、県内在住者が「レイコー」と呼ぶケースは聞いたことがないという。この店舗では「冷やし珈琲」の商品名で販売している。

 愛好家が結成した日本コーヒー文化学会(神戸市)によると、国内でアイスコーヒーが飲まれ始めたのは明治時代ごろ。当時は冷蔵庫が普及しておらず、井戸水などで冷やしていたとされる。こうした様子は、愛知県出身の小説家、村井弦斎が1903(明治36)年に連載を始めた「食道楽」に記されているという。

 同学会の担当者にレイコーについて尋ねると「30年ほど前に神戸市内の喫茶店でアルバイトをしていた際、年配のお客さんから何回か注文を受けた。最近ではすっかり聞かなくなった」と話した。

 調査は20~60代の男女600人にインターネットで実施された。【嶋田夕子】

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